京大、6G向けサブテラヘルツ波で走行車両に1.7Gbit/s伝送

京都大学の研究グループは、サブテラヘルツ帯を用いた車両通信システムにおいて、実走行車両に対する高速大容量伝送に成功した(ニュースリリース)。

(図)サブテラヘルツ帯車両向け移動伝送装置((a)送信機、(b)受信機)

研究グループは、100GHz帯のサブテラヘルツ波を用い、交差点から約300mにわたる車線上を実際に走行する車両に対して、5G標準仕様に準拠した無線伝送を実施した。その結果、国内の5Gに割り当てられている最大チャネル帯域幅400MHzの2倍以上となる920MHzの帯域幅を用い、1.7Gbit/sの伝送レートを達成した。実走行車両へのデータ伝送において、5G標準仕様に準拠した通信方式を用いながら、サブテラヘルツ帯で高速大容量伝送を実証したのは世界初だという。

5Gは、高速大容量、低遅延、多接続を特長とし、個人向け通信だけでなく、産業や社会基盤を支える通信インフラとして高度化が進められている。自動運転分野では、車両同士や車両と路側インフラなどを接続するV2Xの活用が期待されている。一方で、自動運転車両に搭載されるカメラやLiDARなどの高性能化により、扱うデータ量は増加しており、大容量データを瞬時に伝送するため、より広い周波数帯域の確保が課題となっている。

この課題に対し、100〜300GHzのサブテラヘルツ波は、現在の5Gを大きく上回る広帯域を確保できる候補として注目されている。研究グループは、交差点の俯瞰映像、点群データ、高精度3次元地図など、自動運転車両の認識に必要な大容量情報を高速伝送するV2X通信システムの研究開発を進めてきた。

(図)サブテラヘルツ波の位置付け

今回の実験では、交差点を含む実道路環境において、交差点から延びる直線330mの車線上を時速20〜30kmで走行する車両に対し、サブテラヘルツ帯の広帯域信号を伝送した。送信機は道路を望む建物内の高さ約5.8mに設置し、受信機を搭載した車両を交差点中心から約330mの範囲で走行させた。送信ビームは移動車両に追従させず、固定方向に照射した。

(図)実験環境および諸元。(a)実験環境、および実験開始地点における受信機の写真
(b)送信機位置、送信ビーム照射点、受信機移動経路(c)実験諸元

実験では、送信ビームを交差点中心から約100m離れた地点に向けた場合、交差点中央付近の一部を除き、交差点中心から最大200mの範囲で安定した通信が可能であることを確認した。また、通信可能エリアは最大320m先まで広がることが分かった。一方、送信ビームを交差点中心に向けた場合は、交差点中心から道路上約70mの範囲で通信可能条件を満たした。

これにより、送信ビームの照射方向を調整することで、用途に応じた通信カバーエリアを柔軟に形成できることが示された。特に、交差点手前の道路に向けてビームを照射することで、車両が交差点に進入する前の広い範囲に高速大容量通信を提供できる可能性があるという。

研究グループは今回の成果について、交差点周辺で生成される点群データや高精度3次元地図情報など、自動運転向けの大容量認識情報を、移動通信環境下で高速に伝送できる可能性を示すものとしている。今後、より安全な自動運転・自動交通社会の実現に向け、6G時代の超高速無線通信インフラの研究開発が加速すると期待される。

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