NTTは「デジタルサイネージアワード 2026」において、アーティスト「Perfume」のパフォーマンスを遠隔伝送する「IOWN×Perfume」でグランプリを受賞した(ニュースリリース)。次世代情報通信基盤「IOWN」を活用し、離れた2拠点を結んでライブの「気配」や「存在感」までを共有する新たなコミュニケーション体験を創出した点が高く評価された。
従来の遠隔コミュニケーションは、映像・音声配信が普及する一方、物理的距離による「感情や空気感の隔たり」が課題であった。これに対しNTTは、通信遅延や容量の壁を越える高度な空間伝送の実現を目指した。舞台として選ばれたのは、1970年の万博会場跡地である「吹田」と、2025年大阪・関西万博の舞台となった「夢洲」である。過去と未来の万博会場を次世代通信で結ぶという、象徴的な試みとして実施された。
技術の核は、IOWNの「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」と、大容量データをリアルタイム処理する高度なセンシング・再現技術の融合である。吹田側では、レーザー光の照射により対象物の距離や形状を精密に測定する複数のLiDARセンサと光学カメラによる独自システムを構築。Perfumeのパフォーマンスを高精細な3D点群データとして立体取得し、IOWNの「高速大容量・超低遅延・ゆらぎゼロ」特性により夢洲側へリアルタイム伝送した。

夢洲側の「NTTパビリオン」では、受信データを3次元LEDビジョン上へ立体的に表出。さらに、吹田側の動きに連動して夢洲側の空間照明、音響、床の振動までをリアルタイムに同期させるシステムを構築した。視覚・聴覚だけでなく身体感覚にまで訴えかけることで、映像の枠を超えた「空間まるごと」の伝送を実現し、同一空間にいるかのような圧倒的な没入感を提供した。
審査総評では、2Dデバイスの枠を完全に破壊し未来のコミュニケーションを定義したとして「技術的衝撃は極めて大きい」と絶賛された。サイネージを「情報を映す板」から「空間や体験を設計・共有するメディア」へと進化させるパラダイムシフトである。特に2025年万博という舞台で、IOWNの技術的優位性を理論説明にとどめず、Perfumeのパフォーマンスを通じて誰もが体感できる体験価値へと昇華させた点が秀逸と評価された。最先端技術とエンタメを高次元で融合し、新たな体験創出の可能性を示した意義深い作品である。



