愛媛大,有機分子でディラック電子を実現

著者: 望月 あゆ子

愛媛大学の研究グループは,有機分子を使って,通常の物質中には存在しない電子を実現することに成功した(ニュースリリース)。

具体的には、質量が通常の電子の1割程度に見えるほど素早く物質中を動き回る電子で,光にも似た振舞を示し,ディラック電子と呼ばれている。こうした電子を含む物質がコンピューターの素子などに応用されれば,抜群の省電力と画期的な高速の情報処理が期待されている。

今回の研究で実現した電子は,軽くて速いフットワークに加え,物質内の厚さ2nmにも満たない薄い平面内に閉じ込められていることが特長。これまでにこうした有機結晶中の平面内に閉じ込められたディラック電子関連物質は知られていなかった。

人間の体と同じ有機物でありながら,理論計算からは金属のように電気をよく流すと期待されるが,これまでに知られた金属とも全く違った電気,磁気特性を持っているとされている。今後,更に研究を進めていくという。

キーワード:

関連記事

  • 愛媛大,光子と電子の中間のような電子を実現

    愛媛大学の研究グループは,有機分子を使い,通常の物質にはない性質を示す,光子と電子の中間のような,ふしぎな電子を実現することに成功した(ニュースリリース)。 今回こうした電子が発見された一連の物質には,新しく合成された物…

    2025.09.09
  • 九州大,近赤外レーザーで光る有機分子を開発

    九州大学の研究グループは,近赤外レーザーによって光る新しい有機分子を開発し,それを有機EL(OLED)としても高効率に発光させることに成功した(ニュースリリース)。 OLEDはスマートフォンやテレビなどに使われる発光デバ…

    2025.08.01
  • 静岡大ら,光を消すと結晶がジャンプする現象を発見

    静岡大学,高知工科大学,東京科学大学は,新規結晶アクチュエータの開発に成功した(ニュースリリース)。 有機分子からなる結晶は,もろく壊れやすいと認識されてきた。しかし近年,温度や光,力などの外部刺激によって結晶が曲がった…

    2025.07.08
  • 阪大ら,有機分子のりん光の高速化・高効率化に成功

    大阪大学と九州大学は,有機分子のりん光効率の世界記録を大きく更新し,その鍵である高速りん光のメカニズムを解明した(ニュースリリース)。 りん光は,高エネルギー状態の分子が電子スピン(自転のようなもの)の向きを変えながら発…

    2024.07.05
  • 東北大ら,反強磁性体の電子を高輝度放射光で測定

    東北大学,大阪大学,独ケルン大学,高エネルギー加速器研究機構(KEK),量子科学技術研究開発機構,分子科学研究所は,10μmに集光した放射光を用いて,これまで困難であった反強磁性体の磁気ドメイン領域内のディラック電子の直…

    2023.11.22
  • 北大,極低温の氷表面で動き回る炭素原子を観測

    北海道大学の研究グループは,極低温の氷表面における炭素原子の振る舞いを,独自に開発した手法を用いて観測することに初めて成功した(ニュースリリース)。 炭素は宇宙で4番目に存在量が多い元素。それゆえ,宇宙空間には数多くの種…

    2023.09.15
  • 立命大ら,ナノ結晶表面の有機分子を光で可逆的脱離

    立命館大学,京都大学,分子科学研究所は,半導体ナノ結晶表面に機能性有機分子を配位した複合ナノ材料において,可視光線を照射することで有機分子が脱離し,その後数秒以上かけて再度表面に配位する現象を発見,解明した(ニュースリリ…

    2023.05.11
  • 東大,中赤外パルスで有機分子の電子状態を転換

    東京大学の研究グループは,電子型強誘電体である有機分子性固体TTF-CA(tetrathiafulvalene-p-chloranil)において,EMV結合を持つ分子内振動モードを中赤外光で強く励起することによって,イオ…

    2021.11.22

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア