公大,AIと赤外線技術で牛の体温を測定

大阪公立大学の研究グループは,赤外線サーモグラフィーと人工知能(AI)を組み合わせることで,画像から関心領域(目および鼻,特に温度変化に敏感に反応する高温領域)の位置を自動的に検出する技術を活用し,約200件の温度変化パターンを抽出した(ニュースリリース)。

従来,牛の健康管理において重要な体温測定は,直腸に体温計を挿入する方法が一般的だったが,この方法は侵襲的であり,時間の経過による体温変化を把握するのが難しいという課題があった。

近年では,赤外線サーモグラフィー技術を用いて目や鼻の周辺から体温を非接触で測定する手法も導入されているが,この方法も依然として一時的な測定にとどまり,体温の経時的な変化を継続的に把握するのは難しいのが現状。また,関心領域の設定も手作業で行なわれているため,設定位置の違いによってデータにばらつきが生じることも課題となっている。

研究グループは,11頭の子牛を対象に赤外線カメラを用いてサーモグラフィー画像を取得し,同時にビデオ記録を行なった。その後,人工知能によってビデオデータから関心領域を自動的に抽出し,以下の二つの実験を実施した。

一つ目の実験では,関心領域について,平均値,上位10%,上位30%の温度値に基づくデータを抽出し,外れ値の除去,標準化,フィルター処理を経て,全33セッションから合計198件の温度変化パターンを導出した。

次に,これらのパターン間の一貫性や類似性を評価するためにコサイン類似度分析を行なった。 その結果,目の上位10%と上位30%の温度値に基づくパターン間のコサイン類似度は高(0.94),これに対し平均値ベースのパターンは上位10%および30%のパターンとの類似度がやや低い傾向となりました(0.81,0.86)。また,鼻についても同様の傾向が見られた。

二つ目の実験では,関心領域内の高温値の空間分布を解析した。各関心領域を3×3のグリッドに分割し,高温値の空間分布をマッピングすることで局所的な温度分布を分析した。

その結果, 目の上位10%の温度値は主に下部領域に分布していたが,上位30%の値は中部と下部に比較的均一に分布していた。鼻については,上位10%の温度値が上下に分散しているのに対し,上位30%の温度値は中部に集中していることが明らかになった。

研究グループは,今回の研究成果により,多様な統計解析を可能にし,動物の健康状態やストレスをより正確に把握する手段として期待されるとしている。

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