古河電工,赤外/青色ハイブリッドレーザーを開発

古河電気工業は,青色DDLと近赤外(IR)ファイバレーザーを組み合わせたBlue-IRハイブリッドレーザー「BRACE」(ブレイス)を2021年1月18日より発売する(ニュースリリース)。

近年,走行中にNOx,PM,CO2を排出しないxEVの開発が進められている。さらに,世界中で感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止の観点からも,ヒトからロボットへの代替や無人輸送技術の開発が進められており,それらの技術と親和性の高いxEVの普及は加速すると予想される。

そのような状況下において,xEVに欠かせない部品である電池,モーター,インバーター等の製造量が飛躍的に伸びるとみられており,導体となる銅の溶接工程の生産性向上(品質,加工速度の向上),および製造工程の省人化への希求が高まることが予想される。

銅溶接において,加工速度の向上のため,超音波溶接やアーク溶接からレーザー溶接への代替が検討されているものの,従来のファイバーレーザ単体では輝度が高く,高速かつ高深度な加工が可能である一方で,銅に対する光吸収率が低いため<安定した入熱が難しく,加工欠陥(スパッタ・ブローホール)の発生が課題だった。

また,短波長レーザー単体では,銅における光吸収率は高く安定した入熱が可能だが,ビーム径が大きく,高速かつ高深度な加工が難しい。

この製品は,短波長である青色DDLと近赤外(IR)ファイバレーザーをハイブリッド化し<それぞれの長所を活かし,短所を補完することで,銅加工において世界最高レベルの品質・深度・加工速度を実現したという。

青色DDL出力150W(コア径110μm)と近赤外(IR)ファイバーレーザ出力1kW(コア径14μm)を組み合わせたハイブリッドレーザであり,それぞれ世界最高レベルの輝度を有しており,青色DDLおよびファイバレーザーの出力・タイミングを一括制御することが可能。

この製品は今年6月5日に発表した日亜化学工業との共同開発により実現した高輝度青色LDMを搭載しており,高効率なエネルギー付与が可能となることで,銅の溶接工程の生産性向上に大きく貢献するという。

同社は今後も,青色LDMのより一層の高出力化を図り,次世代ハイブリッドレーザーを開発・製品化し,xEV向け主要部品をはじめ多様な用途における銅溶接の生産性向上および製造工程の省人化に寄与するとしている。また,2021年1月25日,同社千葉事業所内に,この製品の有効性を実体験できる試作加工ラボを開設予定している。

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