Laser Munich Today【展示会現地報告「最終日」】

【展示会最終日】
展示会最終日はファイバーレーザーのパイオニアであり,最近意欲的にラインアップを拡充しているアメリカIPG PhotonicsのシニアバイスプレジデントでGlobal Sales and Marketing担当のTrevor Ness氏にインタビューを行なった。

会期中多忙な中,時間を割いて頂き,中国経済の減速やイギリスのEU圏離脱等を背景とした市況,今回の展示会での注目製品,日本市場への期待,取り組みについて伺った。

同氏によると同社の売上の半分近くはアジアからであり,その中でも中国が一番大きな比重を占めている。日本市場への期待も高く,新しく安城市にアプリケーションセンターの拠点を開き,市場へのサポートも厚くする方針だという。

今回の展示会でも多数の新製品の展示が有ったが,同氏によればUltra-Fastファイバーレーザーの分野では他の追随を許さない仕様を実現しており,特に高出力(10kWレベル)の領域における電気―光変換効率(Wall Plug Efficiency)の高さに自信を見せている。

その他,ブルーのレーザーダイオードを使った製品,UVファイバーレーザーが展示品の中でも注目を浴びているとのことであった。インタビューの詳細は月刊オプトロニクスに掲載の予定。


Trevor Ness氏



Laser World of Photonicsの併設イベントであるスタートアップカンパニーコンテストで優勝したドイツAPICBEAMにも取材を行なった。ブース内に優勝した賞状が飾ってあり,賞金額は5,000ユーロ,おおよそ60万円だった。ちなみにサンフランシスコのPhotonics Westでの同様なコンテストの賞金は約110万円だったので,賞金規模は半額程度となる。

受賞した技術は一種の空間ディスプレーで,あたかもホログラフィックディスプレーのように空間に立体イメージが浮いているように見える。

スタートアップ企業の製品で,しかも現在特許を請願中ということで,詳細な原理については『Secret!』と説明を拒まれたが,概要としては通常のプロジェクターから出たイメージ像を,細いスリット(スリット幅は1pixel程度)を通してグレーティングを施したガラスを介すると,写真の様に虹色に輝いた像が空間に浮かんで見えるというものだという。

グレーティンが施されていないガラス面から見ると全く像が見えず,代わりにグレーティングが施された眼鏡を通すと虹色像が見えた。インテリアや装飾へのアプリケーションとして面白いかも知れない技術だ。

アメリカでもドイツでも,この様なスタートアップコンテストが有るのは,ベンチャーをサポートする土壌があるからであろうか。果たして実用化にたどり着くのか,今後が注目される。


ディスプレーの周囲を移動しても同様に像が見える

注目の展示・製品
編集部が会場で見つけた気になる製品をピックアップした。詳細については後日,月刊OPTRONICSにて掲載する予定。

・LiDAR関連
今回は産業用製品の展示が多かったため,自動運転向けのキーコンポーネントであるLiDARの展示は少ないものの,日本ではあまり見られないプロトタイプをいくつか見ることができた。

IDQ(スイス)※7/23国名を修正しました
韓国最大の携帯電話会社であるSK telecomが出資する同社は量子暗号通信の研究開発を行なっており,その光子検出技術を応用したLiDARのプロトタイプを展示した。1550nmのファイバーレーザーと垂直方向に9つのInGaAs素子を並べたディテクターという構成により,好条件下では500mもの検出に成功している。

First Sensor(ドイツ)
各種センサーを製造する同社は,ドイツの半導体メーカーInfineon Technologiesが同社のセンサーを用いて作製したLiDARのプロトタイプを出展した。垂直方向に32個のAPD素子を並べた受光センサーを用い,905nmのレーザーをMEMSミラーで走査する。次世代品の開発を進めており,200mの検出距離を実現したいとしている。

Ladimo(フィンランド)
スタートアップの同社は,多点のビームを照射することで対象物までの距離とその位置を正確に測る技術を開発している。100Hzのフレームレートで2509個の3Dポイント情報を取得し,計算によって距離3mにおいて誤差は0.3mmという高精度測定が可能。最大計測距離は40mだとしている。自動運転はもちろん,ロボットビジョンとしても期待できそうだ。

・UVレーザー
薄膜フィルムや樹脂などの高品位微細加工用途に需要増が期待されているUVレーザーの新製品に注目が集まった。ここでは主要メーカーに見るUVレーザーをフォトレポートする。

Spectra-Physics(アメリカ)
2シリーズにおいて新製品のUVレーザーを出展。

Coherent(アメリカ)
MonacoシリーズにおいてUVレーザーを新たにラインナップ。

TRUMPF(ドイツ)
平均出力36WのUVレーザーを新たに開発した。

Han’s Laser(中国)
5W・300kHzのUVレーザーを出展

JPT(中国)
コンパクトな全固体UVレーザーを新たに開発した。

編集部チームは4日間の取材を終えた。巨大な会場で行なわれるワールドワイドな展示会は刺激的であり,改めて光技術のすそ野の広さを知らされた。展示会場では他にも多くの取材を行なったが,それについては月刊OPTRONICS誌上で紹介する。

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