三菱マテ,ヒートシンク付きLEDヘッドライトモジュールを開発

三菱マテリアルは,アルミ回路付き高放熱セラミックス絶縁基板(DBA基板)とアルミニウム(Al)ヒートシンクを直接接合することにより,放熱性能が大幅に向上した自動車用LEDヘッドライト向けAlヒートシンク一体型基板モジュールを開発し,10月よりサンプル提供を開始した(ニュースリリース)。

近年,自動車運転技術の安全志向に応えて,眩惑防止や視認性向上を目的とした自動車用LEDヘッドライトの配光制御システムが登場している。LEDチップの微細化と高密度な配列が要点であり,LEDチップごとにオンオフを切り替えることで多様な点灯モードを実現し,ヘッドライトのより細やかな配光制御を行なうことが可能となる。

こうした配光制御を行なうためのLEDチップ数の増加や高密度化のニーズはさらに高まる傾向にあり,LEDヘッドライトモジュールの放熱性能向上が課題となっている。

LEDヘッドライトモジュールでは,窒化アルミニウム(以下、AlN)を基材としたCSPを使用しており、そのCSP自体はほぼAlNと同じ熱膨張係数となっています。一方,Chip Scale Package(CSP)をはんだ付けしCSPから出る熱を放出する基板には,従来は金属(通常,銅)をベース材としたMCPCBとよばれる回路基板(以下MCPCB基板)を使用しており,その熱膨張係数はベース材の金属とほぼ同じだった。

この構造では,CSPとMCPCB基板の熱膨張の差が大きいため,発光時の発熱の繰り返しによってCSPとMCPCB基板の間のはんだにクラックが発生しやすくなっていた。そこで新製品では,放熱回路基板としてAINベースであるDBA基板を使用することで,CSPと回路基板の熱膨張の差を抑制し,温度サイクルに対する信頼性を大幅に改善した。

さらに,新製品は,DBA基板とAlヒートシンクの接合に使用されてきた伝熱グリースを排し,ロウ付けによって直接接合して一体型としたことにより,既存品と比較して熱抵抗を50%低減することに成功した。これにより,ハイブリッド(HV)車にも採用されている信頼性の高い絶縁回路基板であるDBA基板は,CSPを実装したモジュールにおいて,放熱性能が一層向上し,温度ストレスによるはんだクラックを大幅に抑制することが可能となった。

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