ド・オヌクールからダ・ヴィンチへ

欧州の芸術や科学技術の歴史を振り返る時に,14世紀のルネサンス期や18世紀以降の産業革命が大きな出来事として取り上げられます。しかしその前には“12世紀のルネサンス”と称される時期がありました。そしてその時期の後半にフランスのヴィラール・ド・オヌクール(生没不詳)が教会建築などで大活躍していたようです。不詳な点も多々あるのですが今回はその周辺から追ってみました。

中世の欧州では,遠征から戻ってきた十字軍を介して全盛期のイスラム文化が伝わり,融合していくことで後に“12世紀のルネサンス”と呼ばれるようになった時代が築かれました。特に教会建築は大きな変貌を見せています。欧州中世初期の教会堂は,現在のギリシア〜トルコの領域を制していたビザンチン帝国の流れを汲むビザンチン様式が主流でした。又,11世紀頃にロマネスク様式の建築が南欧を中心に広がります。石材による重厚な柱や石壁と,半円アーチ型の天井やドーム屋根が作られ,キリスト教美術の世界が拡がります。ピサの大聖堂もその代表的な建築です。

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