近年の小型電子機器や電動車等々で要となる部品はレアメタルによって支えられていると言ってもよさそうです。しかし,稀なる金属の産地は偏在している上に国際情勢が不安定な状況では,素材確保にも大きなリスクが伴います。一方で都市鉱山と呼ばれるように使用済みの電子機器に内蔵される金属は貴重な資源となり得ます。従って,回収して有効に活かす技術も必要です。今回はそんなレアメタルの一部を追ってみました。
金属鉱物資源の種類は多いですが,生産や消費量の観点からベースメタルとレアメタルに分けられます。ベースメタルとレアメタルの境界は明確ではなく,経済産業省は埋蔵量が稀で,現在・将来とも工業用の需要があるものから31鉱種をレアメタルとしています。又,レアメタルの中には17の元素の総称としてレアアースもしくは希土類元素と呼ばれるものがあります。更に同省は,安定確保のための課題克服に向けた政策を打ち出しています。先ず抽出した14鉱種から,既に工程内でのリサイクルが相当進んでいる鉱種(例えばインジウム,ガリウム)や,現時点で技術的な目途が立たない幾つかの鉱種を除くなどを経て,2012(H. 24)年に5鉱種をリサイクル重点鉱種として選定しています。コバルト(Co),タンタル(Ta),タングステン(W),ネオジム(Nd),ジスプロシウム(Dy)の5鉱種です。これら鉱種の産出国はほんの一部の国で占められています(表1)。以下,その5鉱種についてもう少し…。

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