情熱を持ち,IOWNが描く未来を実現していく 

―日本の産業には何が必要だと考えますか?

熊本でTSMC,千歳でラピダスの半導体の工場が建設されているなど,国内で先端技術が立ち上がってきているのは非常に喜ばしいことだと思っています。ただ一方で仕組みを作るところが日本の苦手なところで,そういった中に人を巻き込むのは海外の方が上手いと思います。半導体や光産業といったハードウェアの部分は比較的しっかりできていると思いますが,その上の部分,アーキテクチャーやソフトウェア,アプリケーション,そうした部分でうまく結びついていくような仕組みが大事だと思っています。

もう一つ,大学の人材が不足していると思います。私としては教育関係の取り組みもより強化していかないといけないと思っていますし,大学でそういった人たちが興味を持って光産業界に入り,次の時代を担ってくれるようになったらいいと思います。今活躍している世代がベースになって,アカデミックやスタートアップなど,人材を活性化できるような土台を作るなど,産業が持続するためにも,次の世代への持続性が重要と考えています。

-光学に期待するところはありますか

光の面白さというのは,物質との相互作用によって新たなものを生み出すところにあります。光が当たって物質が色々と変化し,新たなものを生み出していくところが一つ期待しているところですね。あと,エレクトロニクスが進化して,通信ではデジタルコヒーレントがその大容量化に貢献しています。光には位相や強度などがありますが,これらをエレクトロニクスで制御し,光コンピューティングとまで言わないですけれど,うまく光のレイヤーで演算の一部を担うようなことができれば,消費電力の低減にもつながっていくと思います。光と物質の相互作用を巧みに利用することでこれまでの技術の壁を乗り越えられるのではと考えていますし,私としてはそこに期待しています。

-お忙しいようですが休暇は取れていますか?

もちろんちゃんと取っていますよ(笑)。コロナの第1回目の緊急事態宣言(2020年4月)が発出された際には,在宅勤務をして,まったくと言ってよいほど外に出なかったのですが,1か月ぐらい経ったころ突然発疹が手足に出てしまいました。免疫が落ちてきたのかなと思い,それまであまり習慣になかったウォーキングをしたりジョギングしたりしたところ,そうしたことが起きなくなって免疫力が回復したことを実感しました。それが習慣化して,今でもほぼ毎週末は10キロぐらいのジョギングをしています。これから暑くなってくるので熱中症には注意する必要はありますが,運動するように心がけています(笑)。

休日には植物の手入れもしています。例えばシクラメンとかミニ胡蝶蘭といった小さな花も,しっかり手入れをしてあげると花を咲かせてくれます。ミニ胡蝶蘭は昨年は2つくらいしか咲いていなかったのが,今年は8~10つぐらい,もう一ヶ月以上咲きました。これは研究と似ていて,じっくりじっくり慌てずに待つことが大事なのと,時間はかかりますが,ちゃんと細やかにサポートをしないときれいな花は咲きません。◇

(月刊OPTRONICS 2024年8月号)

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