情熱を持ち,IOWNが描く未来を実現していく 

著者: 梅村 舞香

巨大組織であるNTTにおいて,通信に限らず幅広い基礎分野の研究を進める先端技術総合研究所。

そのトップである岡田顕氏に,研究者としての心構えとともにIOWNの実現に向けた現状,また今後の日本の産業への期待などについて話を聞いた。

-NTT先端技術総合研究所について教えてください

NTT持株会社の研究所は,4つの総合研究所,「IOWN総合イノベーションセンタ」,「サービスイノベーション総合研究所」,「情報ネットワーク総合研究所」,そして「先端技術総合研究所」からなります。このうち2021年7月に設立されたIOWN総合イノベーションセンタは,IOWN構想の具現化に向けて加速する役割を持ち,他の三つの総合研究所から実用化に近い研究が集まっています。

先端技術総合研究所は「10年先を見据えた基礎的な研究をする」という位置づけですが,良い研究成果が出れば,もちろん実用フェーズに持っていきます。最近の技術の進化って早いですよね。例えば生成AIも出てきたとたん,世の中生成AI一色になりました。そういった技術は突然出てきたわけではなく地道な準備があって,ある時に社会にパッと出てきます。我々の10年先を見据えた研究でも,どこかのタイミングで社会に出せるようにがんばっています。

NTTの研究所は全体で2,300人ぐらいの社員が働いています。ロケーションはここ厚木のほか武蔵野,横須賀,つくば,京阪名,品川などがあります。先端技術総合研究所には4つの研究所があり,未来ねっと研究所が横須賀に,先端集積デバイス研究所と物性科学基礎研究所が厚木に,コミュニケーション科学基礎研究所は京阪奈と厚木にあります。 厚木研究開発センタ全体では研究所設備のメインテナンスをする協力会社の作業員,研究所業務に関連の深いNTTグループ会社の関係者なども含め, 800~900人ぐらいの人が働いています。2年前の2022年7月にNTTはリモートワークを基本とする新たな働き方(リモートスタンダード制度)を導入しましたが,厚木ロケは装置を使った実験や材料の研究が多く,5~6割ぐらいの社員は出社しています。一方で,計算機を中心に活用して研究をする人はリモートで対応できますので,在宅勤務で働く社員の比率が高くなる傾向があります。

-実際に所員とはどう関っているのでしょうか

所員とは対話会などを通じてコミュニケーションをするようにしています。食堂などでは気軽に声をかけるようにしていますし,研究所内の技術報告をしてもらう場では,質問などを通して話を聞いたりするように努めています。最近の若手の皆さんは真面目に物事を考えている一方,インターネットで様々な情報に触れる機会があるので,情報過多になってしまわないように注意してほしいと思います。一人一人それぞれ考え方が違いますので,それを個性として研究をやって欲しいと思います。

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