横浜国立大学と東京理科大学の研究グループは、光で固まり、加熱すると再び液体に戻る「完全再生型」の3Dプリンティング樹脂を開発した(ニュースリリース)。
光造形は、高精細な3Dプリントが可能な一方、従来の樹脂は一度固まると再利用が難しく、材料の無駄や廃棄が課題となっていた。また、再利用可能な樹脂でも、再生時に化学薬品や特殊処理が必要となり、材料の劣化が問題となっていた。
今回開発した材料は、アントラセン分子の光による可逆反応を利用したもの。光を当てるとアントラセン部分が結合して硬化し、熱を加えると結合が解離して液体に戻る。このため、光開始剤や再生用添加剤を使わず、光と熱だけで硬化と再液化を繰り返すことができる。

研究グループは、二光子光造形による3D造形を実証した。独自開発した二光子造形装置を用い、材料にレーザーを走査しながら照射したところ、理論上の最小線幅に近い0.6µmの細線構造を形成できることを確認した。また、蝶型の平面構造物、マイクロニードルモデル、ウサギモデルなどの微細な三次元造形にも成功した。

さらに、一度造形した構造体を150℃で加熱して完全に融解させ、回収した材料を再び樹脂として利用し、別の形状を再造形するサイクルを検証した。その結果、形状の再現性は良好で、造形に必要な流動性や光応答性も維持されていることを確認した。10回以上の書き換え実験でも、材料の硬さや弾性率は大きく損なわれず、構造材料として十分な強度を有することが示された。
この材料は、一般的な青色405nm光造形にも対応するという。研究グループは、試作段階で大量に廃棄されてきた光造形樹脂の使用量を大幅に削減できる可能性があるとしており、今後は材料特性をさらに向上させ、産業界、医療分野、精密機器分野などへの応用が期待されるとしている。



