情熱を持ち,IOWNが描く未来を実現していく 

-所長ご自身はどのような研究をされてきたのでしょうか?

私の研究のスタートは学部4年の酸化物超伝導でした。ジョセフソン効果を利用した赤外線センサを作ろうとしていました。修士2年になったときに先生からのアドバイスもあり,色素ドープした薄膜ポリマに電界をかけて二次の非線形を発現させ,導波路構造にして二次高調波を発生(SHG)させる研究に取り組みました。その過程で一部のガラス薄膜に二次の非線形光学性が発現するのを実験で偶然発見しました。その発現メカニズムの解明や導波路型SHGデバイスの研究に取り組み,これらが学位に繋がりました。

1993年にNTTに入社してからは機能性光デバイスの研究開発を担当し,1997年にスタンフォード大学で1年間客員研究員として海外研修をする機会がありました。そこでデバイスから上のレイヤーを見るようになりました。そのあと戻ってきて光デバイスからサブシステムを考えるプロジェクトに関わり,まさにIOWNのオールフォトニックスネットワークのような,フルメッシュWDMネットワークでノード間,例えばサーバ間を光で繋いで計算処理をする,分散コンピューティングの研究をしたりしていました。

具体的には,各ノード間を波長選択性スイッチの特性をもつAWG(アレイ導波路回折格子)と光ファイバで結び,ノード側の波長可変レーザの波長を変化させることで接続するノードを決めてデータのやり取りを行なうというものです。ノードにあるデータを計算のために素早く次の計算ノードに渡すという考え方です。ただ,当時はようやく光トランシーバの送受信速度が10Gbit/sになった頃でデータ転送に時間を要することもあり,むしろコンピュータの計算を速くした方がいいという時代です(笑)。その後,グリッドコンピューティング,分散コンピューティングという言葉が出てきて光トランシーバの通信速度も格段にアップして周辺技術も立ち上がり,徐々にオールフォトニクスネットワークに繋がってきたと感じています。

それからアクセス系の光トランシーバ10G-EPONの研究開発などにも携わり,これらの研究業務の途中に研究所や持株本社での人材育成や人材開発の経験をし,研究所での研究推進マネジメントなどを経て現在に至ります。

いろいろな業務を経験してきましたが,基本的にはバックグラウンドは光になりますね。だからオプトロニクスは情報源として学生時代から読んでいました(笑)。

-座右の銘と尊敬する人を教えてください

座右の銘は「人事を尽くして天命を待つ」です。どのような結果になるかわからないけれども,まずは好奇心を持っていろいろなことに取り組む。しっかりやってあとは外の人が受け入れてくれるかどうか,じっくり待つことも研究では大事だと考えています。まずは研究が面白くないといけないので,気持ちの持ちようも同じく大事で,あまり悩まないというのも重要かもしれません。

尊敬する人は,学生時代の先生もそうですが,NTTに入ってからも上司に恵まれたと思っています。ターニングポイントを作ってくれた方々ですので,こうした周りにいた方々を尊敬しています。思い返してみると,私をサポートしてくれた方がタイミング良くサジェスチョンをしてくれました。やってみないと分からないことなので,よほど理不尽なことでない限り素直にアドバイスを受け入れたのが良かったと思っています。

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