徳島大学と岐阜大学工学部の研究グループは、光ファイバー接続マイクロ光コムを用いたテラヘルツ波生成と多値変調技術を組み合わせたマイクロ光コム駆動型テラヘルツ通信システムを開発した(ニュースリリース)。

次世代移動通信システム(6G)では、300GHz以上のテラヘルツ波の利用が期待されている。特に350GHzを超える領域は、広帯域を活用した超高速通信が可能な一方、従来の電子技術では高周波信号の出力低下や位相雑音の増大が課題となっていた。
研究グループは、電子技術に代わる手法として光技術に着目。光周波数コムの一種であるマイクロ光コムを用いた、マイクロ光コム駆動型テラヘルツ通信(Photonic 6G)の研究を進めてきた。マイクロ光コムは、高い周波数安定性と低位相雑音特性を持ち、テラヘルツ帯における高品質な無線キャリア生成に有効とされる。
今回、研究グループは、窒化シリコン製の微小光共振器に光ファイバーを直接接合した、光ファイバー接続型マイクロ光コムデバイスを開発した。これにより、従来必要だった精密な光学調整を不要とし、装置の小型化と長時間安定動作を実現した。

さらに、このデバイスを用いてテラヘルツ無線通信システムを構築。マイクロ光コムの光注入同期により高安定な2波長光キャリアを生成し、QPSKおよび16QAMの多値変調を付与した後、フォトミキシングにより560GHzの多値変調テラヘルツ波を生成した。
受信側では、サブハーモニックミキサーを用いたヘテロダイン検出により信号を復調。その結果、QPSK変調で84Gb/s、16QAM変調で112Gb/sの無線伝送を達成した。研究グループによると、420GHz以上の周波数帯において100Gb/s級無線通信を実証した初の成果だという。

今回の成果は、350GHzを超えるテラヘルツ帯で100Gb/s級無線通信が可能であることを示すもので、6Gにおける超高速モバイル・バックホール通信や光・無線融合ネットワークの実現に向けた技術基盤になるとしている。今後は、マイクロ光コムの低位相雑音化やテラヘルツ波の高出力化、高利得アンテナの導入などにより、さらなる高速・大容量化と通信距離の拡張が期待される。



