【トレンドを読む】LEDからレーザーへ ─技術革新が導く植物工場の未来

東京大学は,赤色レーザーダイオード(LD)を光源とすることで,植物の光合成と成長を飛躍的に促進できることを,世界で初めて明確に示した。

写真1 東京大学大学院 農学生命科学研究科准教授 矢守航氏
写真1 東京大学大学院 農学生命科学研究科准教授 矢守航氏

今回,この成果を発表した東京大学大学院 農学生命科学研究科准教授の矢守航氏に取材をした。

植物工場について教えてください。

植物工場は,部屋の中で光・温度・二酸化炭素・栄養など,植物が必要な環境を最適化できるので,とても安定して生産ができる次世代の農業と言われています。

写真2 タバコ&シロイヌナズナ(レーザー:660 nm光)レーザーを広げるのにビームホモジナイザーを使用している
写真2 タバコ&シロイヌナズナ(レーザー:660 nm光)レーザーを広げるのにビームホモジナイザーを使用している

現在,多くの工場ではコストの安さから白色LEDが用いられていますが,先進的な施設では植物の成長に重要な青と赤の光を組み合わせる手法が導入されています。植物工場で青と赤の光が使われるのは,光合成効率が最も高いためです。光合成は葉緑体で光を吸収することから始まりますが,吸収効率は光の色(スペクトル)によって異なります。吸収スペクトルを調べると,光合成色素であるクロロフィルaやbが特に青と赤の光を強く吸収することが分かっています。そのため先進的な植物工場では,この2色の光を活用して栽培を行なっています。青色光は植物の形態形成に関与し,整った姿に育てるのに役立ちます。一方,赤色光は光合成効率が圧倒的に高く,成長促進に直結します。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  

    新規読者登録フォーム

    関連記事

    • 「光x防衛」をテーマとする新たなセミナー企画がスタート 防衛装備庁、経産省、内閣府の第一人者が登壇 第1回目は9月29日開催

      民生・産業分野で培われた光技術・フォトニクスを防衛・安全保障分野へつなぐ、デュアルユース(軍民両用)を意識した新しいセミナー「日本を衛る光技術セミナー」が9月29日、開催される。光技術メディアのオプトロニクス社(東京都)…

      2026.09.11
    • 【トレンドを読む】レーザーフュージョンの「実践集団」が発足

      次世代エネルギーの産業化へ 脱炭素社会の実現やエネルギー安全保障への関心が高まる中、次世代のエネルギー源としてレーザーフュージョン(レーザー核融合)エネルギーが注目を集めている。研究開発が進展し、世界各国で実用化を見据え…

      2026.09.10
    • パワーレーザー、12億円調達 レーザーフュージョン光源と宇宙デブリ事業を加速

      大阪大学レーザー科学研究所発スタートアップのパワーレーザー(大阪府吹田市)は、第三者割当増資などにより総額約12億円の資金調達を実施した(ニュースリリース)。今回の調達により、累計調達額は約16億円となる。調達資金を活用…

      2026.09.04
    • 東北大、三次元バルクメタマテリアルで社会実装へ

      テラヘルツ(THz)波などの電磁波を自在に制御し、6G通信をはじめとする次世代技術の飛躍的発展を支える新材料として、今大きな注目を集めている「3次元バルクメタマテリアル」。2026年8月27日・28日に東京ビッグサイトで…

      2026.09.02
    • セブンシックス、MOPA方式ファイバーレーザー加工機を発売 剥離・接着前処理に対応

      セブンシックスは、ファイバーレーザー加工機「SX-Zシリーズ」の販売を2026年9月1日から開始した。オムロンから承継したレーザー加工関連技術・製品資産を基盤に、同社が培ってきたファイバーレーザー技術やレーザー制御技術を…

      2026.09.02

    新着ニュース

    人気記事

    編集部おすすめ

    • オプトキャリア