名城大学と三重大学は、AlGaN系UV-B半導体レーザーの電力・光エネルギー変換効率(WPE)を制限する主な要因が、これまで重視されてきた光閉じ込めではなく、内部光損失であることを実験的に明らかにした。さらに、内部光損失を最小化する新しいレーザー設計指針を確立し、紫外半導体レーザーでは5.5%の電力・光エネルギー変換効率を達成した(ニュースリリース)。
280〜320nmのUV-B半導体レーザーは、皮膚疾患の治療、血管形成の促進、微細加工、フォトケミカルプロセスなど幅広い分野での応用が期待されている。しかし、AlGaN材料では結晶欠陥や光吸収の影響が大きく、電力・光エネルギー変換効率が低いことが実用化に向けての最大の課題となっていた。これまで、レーザーの高効率化には、リッジ導波路を深く形成して光を強く閉じ込めることが重要であると考えられてきたが、その一方で効率を左右する要因が光閉じ込めなのか、それとも内部光損失なのかについては、実験的な検証が十分になされておらず、明確な結論が得られていなかった。
研究グループは、リッジ導波路のエッチング深さを系統的に変化させたAlGaN系UV-B半導体レーザーを作製し、内部光損失、しきい値電流、スロープ効率、近視野光分布などを詳細に評価した。その結果、光閉じ込めは十分に確保されている場合でも、内部光損失がわずかに増加するだけでレーザー性能が大きく低下することを実験的に確認した。一方、内部光損失を最小化した構造では、しきい値電流の低減とスロープ効率の向上が同時に達成され、紫外半導体レーザーとして世界最高レベルとなる電力・光エネルギー変換効率は 5.5%を実現した。これらの結果から、AlGaN 系 UV-B 半導体レーザーでは「光をより閉じ込める設計」ではなく、「内部光損失を低減する設計」が高効率化の本質であることを初めて実証した。

今回の研究は、AlGaN系半導体レーザーの設計思想そのものを見直す画期的な成果。従来の「光閉じ込めを強める」という設計から、「内部光損失を最小化する」という新たな設計指針へ転換することで、今後さらなる高効率化、高出力化、高信頼化の実現が期待されるという。また、今回の成果は深紫外レーザーだけにとどまらず、AlGaN 系レーザー全般の設計にも適用可能であり、医療用光源、半導体製造、ライフサイエンス、量子技術など幅広い分野への波及が期待されるとしている。



