防衛装備庁は2026年4月、安全保障技術研究推進制度(いわゆる防衛省ファンディング)における令和7年度の終了評価結果を公表した(関連HPはこちら)。
今回の評価では、令和6年度までに終了した19件の研究課題が対象となり、大学や国立研究機関、企業に所属する研究者が主導した先進的基礎研究の成果が整理されている。

同制度は、防衛分野への応用を見据えた基礎研究を広く公募し資金支援を行うもので、外部有識者による委員会が成果を5段階で評価する仕組みとなっている。令和7年度の終了評価では、特にフォトニクス、量子技術、先端材料、宇宙・海洋センシングといった分野で注目すべき成果が並んだ。
光・フォトニクス分野では、理化学研究所の平等拓範氏による「ジャイアント・マイクロフォトニクス」に基づく高出力固体レーザ研究が「AA(想定以上)」と高評価を獲得したほか、同じく理研の南出泰亜氏によるテラヘルツ波イメージング装置は最高評価「S」を得た。テラヘルツ領域の小型・高耐久イメージング技術は、防衛のみならず非破壊検査や医療応用への波及も期待される。
量子・光源関連では、物質・材料研究機構(NIMS)の黒田隆氏による量子鍵配送向け固体光源の研究が評価対象となっており、量子通信インフラの実装に向けた基盤技術として位置づけられる。また、同機構からは材料・プロセス分野で複数の研究代表者(大村孝仁氏、新津甲大氏、矢治光一郎氏など)が名を連ねており、先端材料研究の層の厚さが際立つ結果となった。
加えて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の松井快氏による海中環境推定、同じく張科寅氏による小型衛星用スラスタ研究など、宇宙・海洋観測技術も重要な柱として評価されている。光ファイバセンシング(防災科研)やAI画像解析(ファインセラミックスセンター)など、光計測・データ解析技術の広がりも確認できる。また、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の石橋正二郎氏は、「レーザー反射光を利用する海中海底ハイブリッドセンシングの研究」で評価対象となっており、海中計測とレーザ技術を組み合わせた新しいセンシングアプローチとして注目される。
企業からの参画も活発で、ノベルクリスタルテクノロジーの宮本広信氏(酸化ガリウムデバイス)、リチェルカセキュリティの木村廉氏(サイバーセキュリティ)、川崎重工業の久保田伸幸氏(画像処理)など、産業界の研究者が先端テーマを牽引している点も特徴的である。防衛用途に閉じないデュアルユース技術としての広がりを示す結果と言える。
全体として、令和7年度の終了評価は、光・量子・先端材料といったオプトロニクス領域と親和性の高いテーマが数多く含まれているのが特徴である。特にレーザ、テラヘルツ、量子光源といったキーワードは、今後の特集やインタビュー企画の対象として有望であり、大学・研究機関・企業を横断した取材候補リストとして活用できる内容となっている。



