NTT、4コアマルチコア光ファイバーで世界最高容量の192コア海底ケーブルを開発

NTTはIOWN構想が掲げる大容量光伝送基盤の実現に向け、1本の光ファイバー内に4つのコアを配置した4コアマルチコア光ファイバー(MCF)192コアの海底ケーブルシステムを開発したと発表した(ニュースリリース)。

(図)既存光ファイバーの容量限界を超える4コアマルチコア光ファイバー

現在、5Gや生成AIの普及により通信需要が急増しており、従来の波長分割多重(WDM)技術による容量拡大は限界に近づいているが、今回の開発は空間分割多重(SDM)技術を活用することで、既存の光ファイバー1本あたりの容量限界を打破するものである。特筆すべきは、光ファイバーのガラス径を既存の標準と同じ125μmに維持したまま4コア多重を実現している点にあり、これにより既存の海底ケーブル構造や外径を変えることなく、通信容量を従来の4倍に拡大することに成功した。

(図)海底ケーブル構造と4コアMCFによる容量拡大

海底ケーブルは水深8,000mの超高圧下での耐圧性や25年以上の長期信頼性が求められるため、従来はケーブル径を太くしてファイバー収容数を増やすことが困難であったが、本技術により直径約20mmの標準的なケーブル内に48心(192コア分)を収容することが可能となった。

(図)開発した海底4コアMCFケーブルとその収容コア数

また、実用化に向けた周辺物品のラインナップ化も進んでおり、海底ケーブル同士や陸上ケーブルを接続するジョイントボックス(JB)、および通信局内でMCFと既存ファイバーを接続する成端架も同時に開発された。

(図)海底MCFケーブルシステム構成と開発物品

ジョイントボックスにおける接続には、側面画像調心技術を用いたMCF対応の融着接続技術が適用されており、実装密度を上げた状態でも低損失かつ低クロストークという優れた光学特性を達成している。本成果の一部は、光通信分野における国際会議「OFC 2026」においてトップスコア論文として採択されており、技術的完成度の高さが国際的に証明されている。NTTは今後、2029年頃の実用展開を目指し、大容量海底ネットワークの経済的な整備と通信基盤の高度化を推進していく方針だ。

キーワード:

関連記事

  • 名大、透明ナノシートを用いた高感度・超小型RGBフォトディテクタを開発

    名古屋大学は、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛(ZnO)ベースの透明導電体ナノシートを開発し、高い透明性と感度、さらに耐熱性を兼ね備えた高性能フォトディテクタを構築した(ニュースリリース)。同大学未来材料・システム研…

    2026.05.27
  • OKI、ライテラ、慶大、空孔コア光ファイバーで広帯域・1芯双方向伝送に成功

    沖電気工業(OKI)、ライテラジャパン、および慶應義塾は、空孔コア光ファイバー(HCF)を用いた次世代光回線の実証において、1.26μmから1.58μmの広帯域波長多重信号による1芯双方向伝送に世界で初めて成功した(ニュ…

    2026.05.27
  • NTT、通信用DSPチップに光ネットワーク全長の常時監視機能を搭載

    NTTは、光ネットワークの受信端に設置する小型光トランシーバだけで、通信しながら光ネットワーク全長の状態を可視化する機能を、世界で初めて通信用デジタル信号処理チップに搭載したと発表した。専用測定器を使わずに光ネットワーク…

    2026.05.26
  • フォトニクスファウンドリーが、OFC 2026で示した技術戦略と将来展望

     AI普及で通信業界はまさに活気づいている。そんな中にあって、2026年3月17日から19日の3日間、光通信・ネットワーク分野における世界最大の展示会・カンファレンス「OFC」がロサンゼルスのコンベンション・センターで開…

    2026.05.20
  • 慶應大、プラスチック光ファイバーで212.5Gb/sの50m伝送に成功

    慶應義塾大学の研究グループは、データセンター向け短距離光通信の高速化に貢献する屈折率分布型プラスチック光ファイバー(GI POF)を開発し、次世代の1レーン212.5Gbps(ギガビット/秒)の50m伝送の実証に成功した…

    2026.05.07

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア