大阪公立大学の研究グループは、天然物由来の桂皮酸やグリセリンなどから誘導した光反応性モノマーに対して光照射することで、開始剤や触媒を一切使用せず、水溶媒において分解性高分子が合成できる重合技術(界面光環化付加重合)を開発した(ニュースリリース)。

高分子カプセルは薬剤や香料などの機能性物質を封入できるため、機能性化粧品や日用品など幅広く利用されている。しかし、従来のカプセルは非分解性高分子が用いられているため、自然環境で分解されにくく、海洋マイクロプラスチック問題の一因として生態系や人の健康への影響が指摘されている。
研究グループは、天然物由来分子をエステル結合で縮合した光反応性モノマーに光照射することで、高分子カプセルを調製できる界面光環化付加重合を世界に先駆けて開発した。
この反応中では、光反応性モノマーに導入した桂皮酸エステル部位の[2π+2π]光二量化反応を素反応とする光環化付加重合が、モノマー微粒子界面近傍で生じる界面光環化付加重合が生じる。この重合では、重合溶媒として環境調和型媒体である水を使用できる。さらに応用することで、未反応モノマーの除去とともに目的分子を内包して高分子カプセルを得ることができる。
この重合反応で素反応として採用する[2π+2π]光二量化反応は可逆反応であり、短波長の光を照射することにより逆反応が生じることが知られている。その特徴から、界面光環化付加重合によって合成された天然物由来高分子カプセルが、短波長光照射により光分解することが示された。
また、ポリマー中に含まれるエステル結合を加水分解することで、高分子カプセルを分解できることを明らかにした。 [2π+2π]光二量化反応は脱離基の無い反応であり、高分子カプセルのシェル部は密な構造を有するため、モデル分子として内包した蛍光色素は1年以上の間、粒子内部に安定に封入されることを明らかにした。
この性質を利用して、香料成分として知られるリモネンを内包した高分子カプセルを開発し、カプセルを物理的に破砕することで香料を放出できる香料カプセルを開発できた。加えて、桂皮酸に種々の置換基を導入することで、光反応波長および光分解波長を長波長側にシフトできることを明らかにした。
さらに、高出力・大面積光源を用いることで、合成スケールを従来の100倍に拡大し、数100mLスケールでの合成に成功し、産業化に向けた大規模合成の可能性を示した。
研究グループは、この研究は、医薬品、化粧品、香料、肥料など幅広い分野への応用が期待される革新的な技術だとしている。



