東北大学の研究グループは、チオグアノシンをDNA二重鎖内の特定の位置に導入することで、光や化学酸化剤によってDNA鎖間を自在に架橋する新技術を開発した(ニュースリリース)。

光反応による鎖間架橋が種々検討されている。従来、光を用いた架橋法としては、[2+2]光環化反応を利用するものが広く知られてきた。また今回の研究で着目した核酸誘導体であるチオグアノシンも光反応性を持つことが知られていたが、その架橋メカニズムについても、近接塩基との[2+2]光環化反応が主であると考えられてきた。
研究グループは、グアニンの酸素原子を硫黄原子に置換した2′-デオキシチオグアノシン(TG)に着目した。今回の研究では、反応する硫黄原子同士が近づけるよう精密な設計を行ない、TGを非相補的な位置に導入したTG含有DNA二重鎖を合成した。
この独自の設計により、TG含有DNA二重鎖を用いた極めて効率的な架橋反応が実現した。化学酸化剤を用いた場合は1分以内、365nmのUVLED光を照射した場合はわずか10秒という短時間で、90%以上の高収率でジスルフィド結合(S-S 結合)が形成される。さらに、チオグアノシンを導入する位置を検討したところ、反応に最適な位置があることもわかった。
今回の研究の特筆すべき成果は、この光架橋反応の詳細なメカニズムを解明した点にある。一般にチオグアノシンの光反応は一重項酸素の発生または[2+2]光環化反応とされている。今回の研究では、まず、酸素非存在下ではチオグアノシンの光反応が阻害されることを確認し、この反応メカニズムに酸素が関わっていることを確認した。
さらに、様々な実験を行なうことで、光反応のメカニズムとして、光励起されたTGから酸素分子への電子移動を経てスーパーオキシドラジカルが発生する経路が主であることを証明した。
架橋後の二重鎖DNAは、元のきれいならせん構造を維持しており、二重鎖解離の指標である融解温度(Tm)は架橋前の46℃から 80℃以上へと劇的に上昇するなど、極めて高い熱安定性を示した 。さらに、形成された架橋はグルタチオンなどの還元剤によって切断され、元の二重鎖に戻る可逆性も有している。
研究グループは、チオグアノシン同士の架橋は細胞内の環境で外れる可逆性を持つため、体内で薬を放出する核酸医薬や、DNAナノマシンの開発など、次世代医療への応用が期待されるとしている。



