アルマ望遠鏡とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いた研究により、ろくぶんぎ座の方向にある3つのモンスター銀河の星形成が、単一のメカニズムではなく複数の起源によって引き起こされていることを、総合研究大学院大学、国立天文台、北海学園大学などの研究チームが発見した(ニュースリリース)。
およそ100億年から120億年前の初期宇宙では、大量の塵に覆われながら、天の川銀河の約500倍ものスピードで星を作り出す銀河が存在していた。「モンスター銀河」とも呼ばれるこれらの銀河は、現在の宇宙に存在する巨大な銀河の祖先であると考えられいる。モンスター銀河は、宇宙誕生後わずか20億年ほどで急速に星を作り成長したと考えられているが、なぜこれほど激しい星形成が起きたのか、その要因は不明であった。
最近までは、「自然発生的な」星形成が主な要因であると考えられていた。しかし、モンスター銀河は非常に遠方に存在するため従来の観測では解像度が足りず、その詳細を明らかにすることが困難であった。さらに、同程度の高い解像度で複数の波長を同時に比較できる観測は限られており、星形成の起源を直接確かめることができていなかった。
今回の研究で、アルマ望遠鏡とJWSTの世界最高レベルの解像度を活かし、3つのモンスター銀河(AzTEC-1, AzTEC-4, AzTEC-8)の星形成と恒星の両方の分布を同等の解像度で直接比較することに成功した。アルマ望遠鏡は塵に隠された星形成を、JWSTは塵の影響を避けて恒星分布を捉えるのに適している。両者を、最大で視力1000に相当する、約0.06秒角という極めて高い解像度にそろえて観測したことにより、モンスター銀河の星形成の起源を直接検証する研究に新たな進展がもたらされた。
解析の結果、3つの銀河では星形成と恒星の分布がいずれも大きく異なることが初めて明らかになった。さらに、これらの違いを精査したところ、大きな銀河同士の衝突(AzTEC-1)、内部重力による自然発生(AzTEC-4)、小さな銀河との衝突(AzTEC-8)、という3つの異なるプロセスが、いずれもモンスター銀河の非常に活発な星形成を引き起こし得ることが、新たに示された。今回の成果は、巨大銀河が成長期を迎える要因は単一ではなく、複数のメカニズムが関係していることを強く示している。

それぞれのモンスター銀河のイメージ(下段)

研究チームは今後、銀河のサンプル数を大幅に増やし、巨大銀河形成の多様性を統計的に検証し、天の川銀河を含む銀河形成の謎に迫ることを目指すとしている。