分子研、非調和二色光により白色光生成を世界初の1000倍に増大

分子科学研究所は、水中で広帯域の光を生成するスーパーコンティニューム生成(SCG)を、周波数比が整数でない非調和二色光により劇的に増強することに成功した(ニュースリリース)。

フェムト秒レーザー光を水やガラス、光学結晶といった透明媒体に集光すると、広大なスペクトルを持つ白色光が生成される。この白色光は、超高速分光や生体イメージングに不可欠な光源として広く利用されている。

固体や気体中では、近年、多色レーザー光励起による非線形光学過程の制御と白色光生成の強化が急速に進展している。しかし、液体中、特に最も身近で普遍的な媒体である水に対し、非整数周波数比の多色レーザー光を用いて白色光生成を強化する手法は、ほとんど探索されていなかった。

水は生命現象、機能性材料、地球環境における基盤的媒体であり、その光応答を自在に制御することは、新たな計測技術や光機能の創出につながる重要な挑戦となっている。

研究グループは、非整数の周波数比を持つ二色フェムト秒レーザー光を水に集光することで、従来法に比べ約1000倍強力な白色光を生成することに成功した。さらに、重水(D2O)を用いた対照実験では、この劇的な増強効果が観測されなかった。このことから、この現象は軽水(H2O)固有の光学的分散特性と光共鳴条件によって駆動されることが明らかとなった。

実験では、基本波1036nmのレーザー光と、その整数倍ではない周波数比を持つ種光を水に同時照射し、生成されるスペクトルを分光器で解析した。また、観測された著しい白色光増強の起源を理解するため、位相整合条件および群速度整合を理論的に検討し、ソリトン圧縮、分散波放射、四波混合、相互位相変調といった非線形光学過程が協奏的に作用することを示した。

研究グループは、この成果は、生体組織の光分析、固液界面のダイナミクス観測、水中電子ダイナミクスのアト秒観測など、水環境を舞台とする先端分光技術の発展に寄与するとしている。

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