スタンレー電気は、京都大学と日亜化学工業と共同で推進する次世代半導体レーザー「PCSEL(Photonic Crystal Surface Emitting Laser)」の研究成果を発表した(ニュースリリース)。

PCSELは、フォトニック結晶を利用して高出力・高指向性・高機能性を同時に実現する半導体レーザーであり、1999年に京都大学で発明された。三者は2024年よりこの技術の社会実装を目指した共同研究を進めており、今回その具体的成果を示した。
発表によると、発光サイズΦ1mmのPCSEL素子で高指向性ビームの生成に成功した。従来の青色半導体レーザーでは発光サイズの拡大によりビームが広がり輝度が低下する課題があったが、フォトニック結晶構造と電極設計の最適化により、ビームの拡がり角を0.05度以下に抑えつつ高輝度を維持することに成功した。これにより、銅やアルミニウムといった青色波長に高吸収率を示す材料の精密加工用光源としての応用が期待される。
さらに、高指向性ビームを利用した水中センシングの有効性も確認された。水中10m先の1cm程度の物体を検知できる性能を示し、船舶事故防止のための海中障害物検知、橋脚などの水中インフラ点検、さらには海中資源探査への応用可能性が示唆された。
加えて、自動運転分野では雨天や濃霧といった視界不良環境下でのLiDARへの展開も視野に入れており、安全性向上への貢献が期待される。
三者の役割分担として、スタンレー電気と京都大学はPCSEL素子の設計・評価・試作を担当し、日亜化学工業はサンプルの試作と社内評価を行なった。今後も各者の強みであるフォトニック結晶設計技術とレーザー素子製造技術を融合させ、産学連携による光技術の新たな展開を推進していくとしている。
この共同研究は、高指向性かつ高効率な青色レーザーの開発を通じて、次世代のものづくり、センシング、および自動運転技術の発展に寄与するものと期待される。