東京大学と法政大学は,人工光型植物工場において世界で初めてエダマメの安定生産に成功した(ニュースリリース)。
人工光型植物工場は,LEDや空調を用いて光・温度・湿度・二酸化炭素・養液を自在に制御し,一年中安定した作物生産を可能にする次世代の農業モデルとなっている。
天候に左右されないことから,気候変動や農薬依存の問題を解決する手段として期待されている。しかし,これまで主にレタスなどの葉物野菜が中心で,成長に時間がかかる豆類や果菜類は,工場ではうまく育てられないとされてきた。
研究グループは先日,LED植物工場で世界に先駆けてトマトの安定栽培に成功した成果を発表し,大きな注目を集めた。次なる一歩として選んだのはエダマメは,世界的に人気が高く高タンパク・高栄養の作物である一方,収穫後すぐに鮮度が落ちるため,夏の短い期間にしか市場に出回らないという大きな課題があった。今回の研究では,人工光型植物工場でエダマメを安定的に,しかも高品質に育てることに挑戦した。
研究グループは,3種類の栽培システム(NFT=養液膜栽培,ROC=ロックウール栽培,MIST=噴霧栽培)を比較した結果,NFTで最も茎や葉の成長が旺盛だった。露地栽培(FIELD)よりも多くのバイオマスを生産し,植物工場でも力強く育つことが示された。
収量を左右するのは花の数よりも,どれだけ効率よく莢をつけられるかだった。NFTでは莢の数と種子数が多く,結果として収量は露地を上回る水準となった。つまり畑より多く収穫できるエダマメを工場で実現した。
エダマメの味を決めるのは,糖とアミノ酸のバランス。分析の結果,NFTやROCではショ糖が多く,甘みが強いことが分かった。遊離アミノ酸はやや低めだったが,健康成分として注目されるイソフラボンはNFTで露地よりも多く蓄積していた。LED光環境がイソフラボン合成を促す可能性も示唆され,従来の畑では得られない品質向上が確認された。
また収量・甘味・機能性成分など複数の指標を統合して比較したところ,NFTが最も高い評価を獲得した。さらに,NFTは多段式の積層栽培にも適しており,都市部の限られたスペースでも効率的に大量生産できる可能性が示された。
研究グループは,この成果により,都会のビルや砂漠,さらには宇宙でも一年中エダマメを作れる未来が開け,食料問題の解決や健康的な食生活につながるとしている。
