愛媛大学の研究グループは,すばる望遠鏡の広域探査で見つけた初期宇宙の最高光度の銀河11個をターゲットとして,ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による超高感度観測し,7個の銀河の中に,塵に隠れて潜む巨大ブラックホールを発見することに成功した(ニュースリリース)。
銀河の中心に存在する巨大ブラックホールは,物質を飲み込み光り輝くクェーサーとなり,銀河進化に大きな影響を与える。数密度を調べることで誕生メカニズムが推定されるが,従来の紫外線観測では塵に隠れたクェーサーを見逃している可能性が指摘されている。
研究グループは,今回すばる望遠鏡による広域探査観測で見つかった,初期宇宙の最高光度銀河に着目した。それらはクェーサーを探索していた際に,副産物として発見したもので,紫外線の光にはクェーサーの存在を示唆する広輝線が見られなかった。
しかしそれらの銀河中心に強いエネルギー源の兆候があることから,研究グループは発見から10年近くにわたって,クェーサーが隠れているのではないかと考えてきた。2021年に米NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が打ち上げられ,その謎を解くチャンスが訪れた。
JWSTの優れた能力によって,これら銀河から出てくる可視光を史上初めて捉えることを計画した。可視光は紫外線に比べて透過力が高いため,ある程度の塵に覆われたクェーサーから放たれたとしても,外へ出てくることができる。
観測は2023年7月から2024年10月にかけて,JWSTに搭載された分光機器を用いて,最高光度銀河のうち11個を対象に超高感度観測を行なった。得られた可視光のスペクトルを分析したところ,そのうち7個の銀河に,明らかな広輝線があることがわかった。
観測されたスペクトルをさらに詳しく調べたところ,発見されたクェーサーの源となっているブラックホールの質量は太陽の数億個分で,放射エネルギーは太陽の数兆倍にのぼることがわかった。これらの値は,ビッグバンから10億年未満の「宇宙の夜明け」でこれまで知られてきた,普通のクェーサーに匹敵する。
また塵のベールによって,クェーサーが放つ可視光は平均70%,紫外線は平均99.9%も吸収されていることもわかった。この強い吸収のために,0.1%しか透過しない紫外線では銀河に潜むクェーサーを発見することができなかった。
また,それら塵に隠されたクェーサーの数密度を計測したところ,普通のクェーサーと少なくとも同程度であることが判明した。
研究グループは,別の銀河でも同様のブラックホールを探すため,JWSTの新しい観測が来年早々から実施されるとしている。




