東大,低電圧駆動アクティブメタサーフェスを実証

東京大学の研究グループは,反射特性を高速に変化させられる光学メタサーフェスの実証に成功した(ニュースリリース)。

透過光や反射光の波面を自在に制御することができる光学メタサーフェスは実用化が進む一方で,作製後にその機能を変えることができない。そこで近年,電気的に反射率や透過率を制御できる再構成可能な「アクティブメタサーフェス」の研究が活発に行なわれている。

特に,ニオブ酸リチウムや有機電気光学材料を用いたものは,GHz以上の高速な動作が可能。液晶や機械式ミラーを用いた既存の空間光変調器では達成不可能な高速ビーム制御や自由空間光通信への応用が期待されているが,反射率や透過率を十分に変化させるために数十V以上の大きな電圧が必要となっていた。

この研究では,シリコンの微細構造と有機電気光学材料を用いた新たなアクティブメタサーフェスを作製し,わずか1Vの電圧で反射光を高速に変調することに実験的に成功した。実証したアクティブメタサーフェスは,厚み400nmのn型シリコンからなる格子構造が周期的に配置されており,格子の長手方向に対して微細な凹凸形状が施されている。この突起部の幅を一つおきに変化させることで構造の対称性を破り,シリコン格子間の微小なスロット領域内に入射光を閉じ込めて共振させることができる。

さらにこのスロット内に有機電気光学材料を埋め込み,シリコン格子を電極としても用いることで外部電圧を印加できる。有機電気光学材料に電界がかかると屈折率が変化するため,反射光及び透過光の強度が変調される。つまり,シリコン格子に施された凹凸形状によって有機電気光学材料内に光が局在化し,相互作用が増強される結果,小さな電圧でも反射率を大きく変化させることができる。

また,外部電圧をかけることで,反射率スペクトルが大きく変化する。過去に報告された高速なアクティブメタサーフェスと比較すると,今回の素子は大きな反射率変調量と一桁近く小さな変調電圧を達成。分布ブラッグ反射器を共振器の両側に集積することで,特性を維持したまま共振器のサイズを10µm角にまで小型化することができ,わずか1Vの駆動電圧で1.6Gb/sの高速なデータ変調に成功した。

今回実証したアクティブメタサーフェスは低電圧で動作できるため,従来は不可能だったCMOS回路での直接駆動が可能になる。また将来的には,2次元アレイ状に並べることで,並列化した大容量光送信器や高速なビーム制御デバイスへ機能を拡張でき,次世代の光通信をはじめ,イメージングや光コンピューティングなど,幅広い分野への応用を期待するとしている。

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