東京大学の研究グループは、光学メタサーフェスと超高速光検出器を一つのチップに集積した多機能光受信器の実証に成功した(ニュースリリース)。

光学メタサーフェスは、光の波長よりも小さな構造体(メタアトム)を高密度に平面上に配置した光学素子であり、透過光の波面を自在に制御することができる。従来の光学部品に比べて薄くて軽いため、平面型のレンズ(メタレンズ)や顔認証センサ用ドットプロジェクタなど、イメージング・センシング分野を中心に近年急速に実用化が進んでいる。
一方、メタサーフェスに高速な光検出器を組み合わせた光通信用受信器への応用も検討されてきたが、これまではメタサーフェスと光検出器が一体化しておらず、受信器全体として見ると大型になってしまっていた。
これに対して今回の研究では、メタサーフェスと超高速光検出器を一つのチップに集積した新しい光デバイスプラットフォームを開発し、多様な光信号方式に対応した超小型かつ高速な光受信器の実証に成功した。
作製したデバイスは、約0.5mm 厚の石英ガラス基板に厚み1µm以下のInGaAs薄膜受光層を貼り合わせることで、70GHz以上の帯域を持つ超高速な光検出器を実装した。その上で、入力光信号の各偏波・複素振幅成分が所望の光検出器に集光されるように最適設計したメタサーフェスを反対側の面に形成した。
これにより、単一の光検出器にメタレンズを集積した受信器(ML+PD)やこれをアレイ化した多チャンネル受信器(ML+PDA)に加えて、偏波成分を分離して受信するストークスベクトル受信器(SVR)、複素振幅の実部と虚部の成分を分離して受信するコヒーレント受信器(CR)など、合計94個の受信器を 1.2cm角のチップに搭載した。

研究グループは、次世代の高密度チップ間光配線や大容量光通信をはじめ、高速イメージングや光コンピューティングなど、幅広い分野への応用が期待されるとしている。



