NTT、光通信を大容量化したアレイ導波路回折格子がIEEEマイルストーンに認定

著者: 編集部

NTTは、研究開発・普及推進した「石英系PLCを用いたアレイ導波路回折格子」の開発と普及(1992年-1996年)の功績が、電気・電子・情報通信技術分野の世界最大の学会IEEEから「IEEEマイルストーン」に認定されたと発表した(ニュースリリース)。

(写真)銘板贈呈の模様(左:2020 IEEE President 福田敏男氏 右:NTT代表取締役社長 島田明氏)

光通信では、大量のデータを送るために、1本の光ファイバに複数の波長の光を重ねて伝送する波長多重方式が用いられる。例えば、1波長あたり毎秒100Gbitで通信し、N種類の波長を用いることで、合計で毎秒N×100Gbitの大容量通信が可能となる。

この波長多重通信を実現するためには、複数の波長の光を1本のファイバにまとめる、まとめられた光を波長ごとに分ける、という機能をもつ波長合分波器が不可欠となっている。従来の波長合分波器の方式では、回折格子型は空間光学系を用いるため組立コストが高く量産に不向き、薄膜フィルタ型は多くの波長を扱うと構造が大型化するなどの問題があった。

こうした問題に対し、石英系PLC(平面光波回路)技術を用いたアレイ導波路回折格子(AWG)型波長合分波器は、導波路の光路長差を利用して、同一導波路に入力された波長多重光を波長ごとに分離・合波することができる。

AWG型波長合分波器は、低損失、特性の安定性、高い信頼性、優れた量産性を兼ね備えており、数十以上の波長を同時に扱うことが可能。これにより、量産化、小型化という課題を解決するとともに、光ファイバのもつ超広帯域性を最大限に活用できるようになったという。

(図)石英系PLCを用いたアレイ導波路回折格子(AWG)型波長合分波器

IEEEマイルストーンは、電気・電子・情報通信分野において、開発から25年以上にわたり国際的に高く評価され技術的業績を顕彰する制度。IEEE(電気電子技術者協会)により1983年に創設された。これまでの認定例には、19世紀の電話やエジソン研究所、マルコーニの無線通信といった近代化の基盤となる技術・施設から、20世紀のテレビ、コンピュータ、インターネットなど、情報通信を支える重要技術が含まれている。

同同社がこれまでに認定を受けたIEEEマイルストーンは、以下の4件。
・G3ファクシミリの国際標準化(1980年)
(KDDI株式会社と共同、2012年4月認定)
・高能率音声符号化に用いられるLSP方式の開発・普及(1975年)
(2014年5月認定)
・高品質光ファイバ量産製造技術「VAD法(気相軸付け法)」(1977~1983年)
(古河電気工業、住友電気工業、フジクラと共同、2015年5月認定)
・プッシュプル締結方式を採用した光ファイバコネクタ(1986~1991年)
(2021年3月認定)
今回の認定は、5件目のIEEEマイルストーンとなる。

今後も同社は社会や産業、学術の発展に寄与していくとともに安心・安全で豊かな社会を創造にしていくとしている。

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