国立がん研究センターは,新しい画像強調内視鏡技術であるTXI観察法と従来の通常光観察法の病変発見能を前向き多施設共同ランダム化比較試験で検証した(ニュースリリース)。
大腸を調べる検査のうち,大腸内視鏡検査は,大腸がんを早期発見できることに加え,大腸がんの前段階である前がん病変を発見し取り除くことで,大腸がんを発症するリスクや大腸がんにより亡くなるリスクを低減できることが知られている。
また,そのためには病変発見率の高い内視鏡を受けることが重要で,特に,右側結腸の平坦型病変は見逃しがんのリスク因子であることも報告されている。病変発見率を上げるために下剤による前処置や,病変発見支援のAI機器を用いるなど,さまざまな方法が用いられているが,大腸内視鏡検査の病変発見技術をさらに向上させることは重要な課題となっている。
TXI観察法は,病変発見技術の向上を目的として,通常光の情報に基づき,内視鏡画像の明るさ補正,テクスチャー強調,色調強調の3つの要素を最適化する新しい観察法。腸管の奥行まで明るくし,画像上のわずかな構造の変化や色調の変化を視認しやすくなる。
そこで研究グループは,大腸内視鏡検査でのTXI観察法の有効性を検証するため,従来法である通常光観察法と比較する前向き多施設共同ランダム化比較試験を行なった。
この試験の結果,主解析のTXI観察法と通常光観察法で腫瘍性病変の発見数に統計学的な有意差は認めなかった。しかしながら,副次的解析のポリープの発見率や平坦型病変の発見率はTXI観察法のほうが優れている結果を示した。
右側結腸に好発する鋸歯状病変であるSessile serrated lesion(SSL)は,大腸がんの一因とされ,大腸腺腫と同様に内視鏡切除が必要。今回の結果ではSSLの発見率が通常光観察法よりもTXI観察法のほうが高い結果となった。
最新の内視鏡システムにはTXI含め複数の画像強調内視鏡技術が搭載されているが,そのほかにも最新の内視鏡を用いることで高画質化,観察深度の拡大が可能になった。
また,専用モニターを用いることで4K高画質化が可能になり,従来の通常光観察法でも,より鮮明な内視鏡画像を観察することが可能になり,従来の通常光観察法であっても高い腫瘍性病変発見率が示された可能性があるという。
研究グループは,この試験結果により,TXI観察法を用いて大腸内視鏡検査を行なうことで,見逃しがんのリスクを減らし,早期発見による大腸がん死亡率の減少が期待されるとしている。




