農工大,EL材料や蛍光マーカーに期待の材料を合成

著者: 梅村 舞香

東京農工大学の研究グループは,シリル基を有する共役ジエンとシリル基を有するアリールアルキンの間で炭素―炭素結合の形成と水素移動による直接的カップリング反応を行なうことにより,反応から廃棄物を出すことなく,2つの異なるシリル基を有するジシリルヘキサトリエンを合成し,2つの異なるシリル基を目印に芳香族ヨウ化物との選択的なクロスカップリングとプロト脱シリル化を同時進行させることで,非対称1,6-ジアリールヘキサトリエンの合成に成功した(ニュースリリース)。

これまでに研究グループは,0価ルテニウム錯体を触媒として内部アルキンとジエンの反応により立体および位置選択的に共役トリエンが生成する新規な触媒反応を報告している。しかし,この反応では末端アルキンを用いると環化三量化を含む複雑な混合物となるため,内部アルキンに限定される反応だった。

今回の研究では芳香族置換基を有するシリルアルキンとシリルブタジエンを0価ルテニウム錯体を触媒として反応させたところ,位置選択的に鎖状交差二量化反応が進行し,ジシリルヘキサトリエンを得た。このジシリルヘキサトリエンの合成では,各種シリル基の検討により,アルキン上のシリル基はトリエチルシリル基(TES基),ブタジエン上のシリル基はベンジルジメチルシリル基(BDMS基)である場合に効率よく反応が進行し,単離も可能であることがわかった。

また,このジシリルヘキサトリエンの合成では,アルキン由来のTES基は内部に,芳香族置換基は末端に,シリルブタジエン由来のシリル基は末端となる位置選択性で反応した。しかし,このジシリルヘキサトリエンにおいて末端アリール基はシス体とトランス体の混合物となった。

次にこのジシリルヘキサトリエンをフッ化物イオンの存在下で0価パラジウム錯体を触媒として芳香族ヨウ化物とのクロスカップリング反応を室温以下で行なったところ,BDMS基と芳香族ヨウ化物が選択的に反応して芳香族置換基が導入された。

その後TES基がフッ化物イオン源に含まれる微量の水により,選択的にプロトン(水素イオン)に置換されるプロト脱シリル化が進行することがわかり,さらにこの反応間にヘキサトリエンの二重結合はすべてトランス体に異性化することがわかった。この反応により,位置および立体選択的に非対称ジアリールヘキサトリエンが得られた。

研究グループは,これにより,新しい蛍光発光材料やライフサイエンス分野における蛍光マーカーの開発の加速が期待されるとしている。

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