光学関連展示会で国内最大規模となったOPIE
今年もOPIE(Optics&Photonics International Exhibition)が4月23日(水)~25日(金)の会期にてパシフィコ横浜で開幕した。
今やOPIEは,光学分野の展示会としてカバー範囲の点でも規模の点でも日本国内では最大であると断言してよいであろう。今までは2つのホールを貸切っての開催であったが,今年から3ホールでの開催となりさらに規模を増大させている。
近年においては,グラフのように海外出展社も増加しておりその国際性からしてもアジアで最も注目されている展示会として認知されつつある。
国別出展社数の推移からわかるように,OPIEでは次世代商品の開発のヒントなる欧米の新製品・新技術,コストパフォーマンスに優れたアジア,特に中国の製品,そして堅実な日本の新技術まで広く探求することが可能である。ここでは,世界に目を向けさらにOPIEがアジアを代表する展示会として進んでいることを述べていきたい。
海外の大規模光学関連展示会
光学関連展示会として世界的に有名なのは毎年サンフランシスコで開催されるPhotonics West(以下PW),ヨーロッパではミュンヘンで隔年開催されるLaser World of Photonics(以下LWP)であろう。それぞれ,北米エリア,ヨーロッパエリアを代表する光学関連展示会として広く認知されている。
アジアのOPIEとして,北米のPW,ヨーロッパのLWPと並び称される様になるにはまだ発展途上であるが,その観点でOPIEがどこまで来ているか,さらにその発展を推し進めるための取り組みについてPW,LWPの過去の取材と絡めて述べていく。
要旨と結論を先に述べると,この2大展示会に共通している魅力は展示会が商談の場である事はもちろんであるが,加えて様々な目的を果たすサービスと機会を来場者と出展企業に与える場となっていることである。
そこはもちろん直近のビジネスの場であるが,研究開発のロードマップを顧客やパートナーと語り合う場でもあり,併設された学会に参加して最新の研究成果を知る機会であり,シンポジウムに参加してマーケットトレンドをアップデートする場でもある。
さらに,個人のキャリアデザインのヒントを得る場であり,果ては転職の面談も行なわれる。一時こそコロナにより退潮傾向となっていたが,現在では復調を果たし今年のPWでは体感的にはコロナ前を超えてその役割を復活させていた。そして,OPIEもコロナ危機を乗り越え,総合的な展示会としてさらに成長段階の中盤まで登ってきている。
学会併設で世界水準の充実度を誇るOPIE
具体的に2大展示会の状況とOPIEを比べてみよう。PWについては,今年の1月に現地取材を行ないコロナ以降の復活ぶりが括目すべき状況であり,量子関連,AR/VR等の新分野への取り組みは別記事に掲載した。また,展示会のみならず学会も盛況であり,産業分野への提言や問題提起のようなシンポジウムから各分野の専門的・最新の学問成果の発表までプログラムが充実している。これはLWPでも同様である。
OPIEもその路線にそって発展してきており,コロナからの復活という点ではすでに昨年の来場者の体感的な盛況ぶりはPWより一足早くコロナ以前を超えている状況である。
学会について述べれば,併設している学会OPIC(Optronics&Photonics International Conference)が今年も14の分科会に分かれて国際色豊に進行される。
日本国内でOPIEの規模を保ちつつ,アカデミックな会議がここまで充実しているのはOPIEのみであり,規模の他にそのクオリティーの高さを評価すればアジア随一といっても過言ではない。
自らを市場に売込むチャンス
展示会は技術者,研究者,あるいは新分野のセールス・マーケッティングに興味を持っている来場者にとっては自身の可能性を発揮できるチャレンジの場をその目で見る機会でもある。2大展示会ではJob Fairと称して履歴書用の写真撮影コーナーを併設して求人企業がクローズされたコーナーで出展している。今年のPWではレーザー核融合研究の最先端を走っているローレンスリバモア国立研究所がJob Fairに出展していたのはちょっとした驚きであった。
OPIEでも,オプトロニクス社が運営する求人支援,求職支援サービスであるオプトキャリアのブースを今年は拡大して設営する。転職を検討している来場者にはオプトキャリアに登録されている求人情報を提供し,採用を検討している企業向けには最近の転職市場,求職者の情報を個人情報に配慮しつつ相談できる場をつくっている。
規模については2大展示会に及んでいないが,ワンストップサービスの提供という観点では,日本国内では抜きんでており着実にアジアを代表する展示会へと成長している。商談や技術・市場動向の調査のほかにも様々な情報を提供する場を用意している。今年,そして今後のOPIEにも是非期待をして頂きたい。