慶大ら,GI-POFで極細ディスポーザブル内視鏡開発

慶應義塾大学とエア・ウォーターは,世界初となるGI-POF(屈折率分布型プラスチック光ファイバ)技術を応用した注射針レベルの極細ディスポーザブル内視鏡「Cellendo Scope」の開発に成功したと発表した(ニュースリリース)。

この内視鏡は,画像伝送のためGI-POFレンズを採用。GI-POFは,コア部に放物線状の屈折率分布を有し,マルチモード光ファイバ特有の信号劣化(モード分散)を最小化したプラスチック光ファイバ。データセンターの省電力化や自動運転,ロボティクス,高精細映像伝送等への適用も期待されている。

さらにGI-POFは,光学レンズ用途としても応用が可能なレベルに達しており,高精細な画像伝送が可能で,画像伝送解像度は約200LP/mm(1mmの幅に400本の線が見える)に達するという。このレンズは樹脂成型により製造が可能であり,Φ0.1~0.5mmの細さを自由に選択できる。

一般的なガラス製のレンズと比較し,衝撃に対する耐性が高く低コスト。先端には対物レンズが,筐体部分には結像レンズとイメージセンサ,照明デバイスが搭載されており,先端部前方1~50mm,視野角約90°の範囲の画像を取得することができる。また,独自の照明光学系を有し,体腔内観察用の照明光照射はもちろん,同じ光路を通して内視鏡先端から特殊な光を体内に照射することも可能。

こうした特長により,より低侵襲な医療を実現するほか,光学的な多機能性を活かし,患部観察と光照射による治療を同時に実現する,新たな治療法の開発も期待されるという。エア・ウォーターは,内視鏡先端部の単回使用(ディスポーザブル)化を目指し,経済的にもより負担の小さい医療を目指す。

さらに同社は,医療分野以外への応用展開の可能性を検討する。例えばインフラの老朽化対策として,人が立ち入ることができない場所や手の届かない箇所に活用する。ほかにも自動車関連や工場関連,研究施設,農業・新分野関連など様々な分野におけるニーズを探るべく,2025年5月より評価用極細内視鏡のレンタルサービスを開始する。

現在は整形外科領域における新たな関節内視鏡として,量産品質向上と薬機法認証に向けた準備を開始しているという。当初想定していた関節内部の観察のみならず,耳科分野や革新的がん光治療技術など様々な医療分野において極細内視鏡の応用研究を実施する。研究グループは,注射針レベルの細さにより,患者の痛みや感染リスクの低減につながり,効率的な医療の提供,ひいては医療費の適正化への寄与が期待されるとしている。

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