横河計測は,中波赤外域(MWIR:1900~5500nm)測定用の光スペクトラムアナライザ「AQ6377E」を開発したと発表した(ニュースリリース)。
近年,注目されている5µm帯を含むMWIR帯用レーザーの研究者や開発者から,サイドモードの状態を含むレーザースペクトルを正確に可視化できる光スペクトラムアナライザが求められている。このニーズに応えるために,同社は2020年に現行機種「AQ6377」を発売した。
後継モデルである新製品は,さらに高速かつ正確な測定,さまざまな条件下でのパルス光測定への対応能力,そしてフーリエ変換方式の光スペクトラムアナライザ(FT-OSA)よりも優れたサイドモード抑制比(SMSR)の評価方法の実現など,ユーザーからの新たな要望 に対する解決策を提供するとしている。
この製品は,新開発の高性能チョッパーを内蔵し,測定感度設定に応じて自動的に動作する。具体的には,中間感度であるNORMALおよびMIDにロックイン検出機能を適用するNORMAL/CHOPおよびMID/CHOP測定感度設定を追加したという。
この機能により,MWIR光スペクトルを測定する際のバックグラウンドノイズの影響が軽減され,現行機種と比較して,より高速かつ正確な測定が可能になるとしている。
また,新機能「アドバンスドパルス光測定モード」の追加により,パルス光測定能力が大幅に向上した。この強化により,従来では困難だった低繰り返し周波数のパルス光などの測定が可能になるとしている。
さらに,レーザー評価において,広いレベル範囲での一括同時測定は従来機の特長だったが,新製品ではこの特長を新仕様「測定ダイナミックレンジ」によって仕様化した。広い測定ダイナミックレンジの特性により,ユーザーはFT-OSAでは可視化が難しいレーザー性能の指標であるSMSRを正確に評価できるという。
用途として,レーザー技術の研究,光パラメトリック発振器(OPO)などの非線形光学研究,CO2,N2O,NOなどの環境ガスのセンシングに関する応用研究,などを想定している。