富士フイルム,EUV用フォトレジスト/現像液を発売

富士フイルムは,ネガ型の極端紫外線(EUV)向けフォトレジスト(EUVレジスト)および現像液(EUV現像液)の販売を開始した(ニュースリリース)。

光源に非常に短い波長の光を用いてウエハーに微細な回路パターンの描写が可能なEUV露光技術への注目が高まっている。今後,EUV露光技術を用いた製造プロセスの普及に伴い,この製造プロセスで使用される基幹材料であるEUVレジストの市場は,年率約2割で成長すると予測されており,EUV現像液の市場も同様に拡大が見込まれるという。

ArF露光を用いた半導体の微細化において,ネガ型レジストの現像工程であるNTIプロセスを世界で初めて開発・実用化してきた同社は今回,EUV露光技術を用いた製造プロセスに求められる回路パターンの微細化を実現するネガ型のEUVレジストの販売を開始した。

これまで培った機能性分子技術を活用して,レジストの反応制御機能を持つ光分解性クエンチャー連結型光酸発生剤(PCP)を導入。EUV露光時のレジスト膜中の酸濃度を均一に保つことで,従来の化学増幅型レジストの課題であった回路パターンのばらつきを約17%低減することに成功。

さらに,独自のEUV現像液の販売も開始。有機溶剤の処方を工夫することで,独自のNTI現像液をEUV向けに進化させた。現像時のレジストの膨潤を極限まで抑え,回路パターンのさらなる微細化に貢献するという。

また,これに伴い同社は設備投資を実施する。静岡拠点では,EUVレジストの生産・品質評価機能を強化するために,最新鋭の生産設備・検査装置を導入する。韓国の平澤拠点では,EUVレジストおよびEUV現像液の生産・品質評価機能を強化するために,クリーンルームを設置するとともに,最新鋭の生産設備・検査装置を導入する。両拠点に導入する設備の稼働開始時期は,2025年10月を予定しているという。

同社は,フォトレジストやフォトリソ周辺材料,CMPスラリー,ポストCMPクリーナー,薄膜形成材,ポリイミド,高純度プロセスケミカルの半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料や,イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとした「Wave Control Mosaic」(ウエイブ コントロール モザイク)をグローバルに展開。

最先端から非先端まで半導体製造プロセスのほぼ全域をカバーする豊富な製品ラインアップに加え,日米欧アジアの主要国に製造拠点を有する安定供給体制や高い研究開発力を生かしたワンストップソリューションを提供するとしている。

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