農工大,極めて薄い赤外線吸収メタサーフェスを実現

東京農工大学の研究グループは,極めて薄い赤外線吸収メタサーフェスを実現した(ニュースリリース)。

電磁波として身の回りの物体から放射される熱は,赤外域の電磁波である赤外線として放射されている。これまで,物体から放射される赤外線の測定による物体の検出などに利用されてきた。

また,赤外線を操ることで熱放射を制御する試みも進みつつある。メタサーフェスは,誘電体膜上に電磁波の波長よりも十分に小さい構造を人工的に設けることで,自然界に存在しない光学特性を実現したシート状の人工構造材料。

高周波数帯(短波長)でメタサーフェスを実現するためには,より一層薄く非常に壊れやすい誘電体膜を扱う必要がある。極めて薄い誘電体膜の表と裏の両面に微小な金属構造を作製する技術を構築できれば,赤外線を操るためのメタサーフェスを実現できる。

研究グループは,赤外域の電磁波に対して動作する赤外線吸収メタサーフェスを,厚さ100nmの非常に薄い窒化シリコン(SiNx)膜を用いて実現した。

赤外線吸収メタサーフェスの表面には,1,200nm角の正方形の金のパッチを周期的に配置したパターンを設けている。赤外線吸収メタサーフェスの裏面には,格子状のレジストの壁と金の膜が配置されている。

今回実現したメタサーフェス吸収体は,両面同時電子ビーム露光法により実現した。作製した赤外線吸収メタサーフェスをフーリエ変換赤外分光法で測定したところ,50テラヘルツ吸収率97.1%,反射率2.2%,透過率0.7%と,極めて薄い素材ながら高い赤外線吸収率を有することを確認した。

研究グループは,この研究で実現した極めて薄い赤外線吸収メタサーフェスは,赤外線を用いたイメージング,物体の検出,距離測定などのアプリケーションでの利用が期待できるとしている。

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