北大,紅藻から紫外線防御物質の調製法を確立

著者: 梅村 舞香

北海道大学の研究グループは,紫外線防御物質であるマイコスポリン様アミノ酸(MAAs)の調製法を用いて,紅藻「ダルス」由来のMAAs含有量について月別変動を調査し,過去の結果と比較し,異なる抽出溶媒量によるMAAsの抽出量と抽出残渣に残存するMAAs量について調べた(ニュースリリース)。

海洋生物に特有の紫外線防御物質MAAsは,安全で環境に優しい天然の紫外線防御物質として注目されているが,その生体内含有量は微量でしかない。

先行研究より,紅藻類におけるMAAs含有量は季節や環境要因によって変動することがわかってきた。MAAsの有効利用には,MAAsが最も多く含まれている時期を見つけること,そして効率的な調製法の開発が不可欠。

そこで研究では,函館市臼尻町産の紅藻ダルス由来MAAs含有量の月別変動を調査し,研究グループが昨年度確立した調製法を改善した。

試料としたダルスは函館市臼尻町で2022年1~5月に採取した。採取した試料は凍結乾燥した後,微粉末とした。微粉末の重量に対し,抽出溶媒を化粧品配合禁止成分であるメタノールの代わりに25%エタノールを20倍容量添加し,4℃で24時間静置した。

抽出液の上清をエバポレーターで乾固させ,得られたものを粗MAAsとした。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により各MAAを分離し,その濃度はランベルトベールの法則及びHPLCのピーク面積比から算出した。効率的な調製法の検討では,抽出溶媒を乾燥試料の20倍容量または40倍容量の条件で抽出操作を行ない,収量や組成について調べた。

その結果,2022年のダルスは,3月の試料が最も高いMAAs含有量を示した。ダルスのMAAs含有量が最大となる時期は,過去3年間と同様に2月から3月であることが示された。また,新たな調製法を用いてもMAAsの月別変動の調査に影響しないことが確認された。

調製法を改善し抽出溶媒の容量を40倍にしたところ,20倍の場合と比較して1.3倍多くのMAAsを調製できた。また,そのMAA組成に違いがあることが確認された。抽出残渣にはMAAsが残存しており,40倍容量で2回以上の抽出を行なうことで最も多くMAAsを調製できる可能性が示唆された。

研究グループは,この研究成果により,低利用資源であるダルスの有効利用と環境に優しい天然の紫外線防御物質MAAsの産業利用の推進が期待されるとしている。

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