OSIT,大面積・長寿命ペロブスカイト太陽電池製作

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は,欠陥を低減した新しい製造技術を用いて,安定性と効率を向上させたペロブスカイト太陽電池モジュールを作製した(ニュースリリース)。

ペロブスカイト太陽電池は,この10年あまりで効率が3.8%から25.5%へと急上昇している。しかし,ペロブスカイト層のピンホールや個々のペロブスカイト粒子間の境界の欠陥によって,ペロブスカイト層から輸送層への電荷キャリアの移動が乱れて効率が低下する可能性や,これらの欠陥部位が湿気や酸素によって寿命を縮める可能性もあった。

理論的には,ペロブスカイト層が薄いと,電荷キャリアが上下の輸送層に移動する距離が短くなるため効率が向上するはず。しかし,より大きなモジュールを製造する場合,薄い膜にはしばしばより多くの欠陥やピンホールが発生することが明らかになった。

そこで研究グループは,現在,ほとんどが厚さ500nmとなっていたペロブスカイト層の厚さが2倍となる,5×5cm2と10×10cm2の太陽電池モジュールを製作した。

しかし,ペロブスカイトは通常,多くの化合物を一緒に反応させて溶液を作り,結晶化させることで形成される。ペロブスカイトの厚い膜を形成するには,使用する前駆体材料であるヨウ化鉛を,十分な濃度で溶解する必要があるが,それは容易ではない。また,結晶化が速くて制御できないため,厚い膜には小さな粒が多く含まれ,粒界が多くなってしまうことも判明した。

そこで研究グループは,ヨウ化鉛の溶解度を高めるために塩化アンモニウムを添加した。これにより,ヨウ化鉛の有機溶媒への溶解度が向上し,より均一なペロブスカイト膜を得ることができた。その後,ペロブスカイト溶液からアンモニアを除去し,ペロブスカイト膜内の不純物の量を削減した。

全体として,5×5cm2の太陽電池モジュールの効率は14.551%を示し,塩化アンモニウムを使用しないモジュールの13.06%を上回った。さらに,この80%以上の効率で1600時間(2ヶ月以上)も作動させることができた。

より大きな10×10cm2のモジュールでは,効率が10.25%で,1100時間以上,約46日間高い効率を維持した。この大きさのペロブスカイト太陽電池モジュールの寿命測定値が報告されたのは,今回が初めてだという。

研究グループは,次の段階として溶液ではなく蒸気を使用する方法でペロブスカイト太陽電池モジュールを製作して技術をさらに最適化するとして,現在は15×15cm2のモジュールへスケールアップを試みている。

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