日本学術会議総合工学委員会ICO分科会が主催する「国際光デー記念シンポジウム」が2026年7月3日、日本学術会議講堂で開催された。

今回も前回に引き続きテーマは「光が開く科学技術の最前線」とし、いま最も注目度の高いAI、フュージョンエネルギーを始め、医療、宇宙観測など、幅広い分野における光科学技術の可能性が議論された。会場には約250名が来場し、若手研究者によるポスター発表も過去最大の84件に達するなど、活発な交流の場となった。冒頭では、ICO分科会委員長を務める東京大学の荒川泰彦氏が挨拶し、AI、半導体、医療、宇宙、エネルギー、フュージョンなど国家戦略上重要な分野を支える基盤として、光科学技術の横断的な役割を強調した。
講演では、Preferred Networks代表取締役の岡野原大輔氏が、生成AIを支える計算基盤と光技術の将来を解説した。AIの利用拡大により、データセンターでは計算資源、電力、通信帯域が供給制約となりつつあり、広帯域、低遅延、低電力を実現する光技術がAIインフラの重要な支えになると述べた。
大阪大学教授の藤岡慎介氏は、フュージョンエネルギーと光をテーマに講演した。CO₂を排出しない次世代エネルギーとして核融合への期待が高まる中、阪大が進める高速点火方式について、レーザーで燃料を圧縮し、超短パルスレーザーで加熱・点火を目指す研究であると紹介した。
北海道大学教授の小川美香子氏は、光音響イメージングや光がん治療、X線応答性分子など、光科学の医療応用を紹介した。国立天文台教授の井口聖氏は、観測技術の発展が天文学を前進させてきた歴史を示し、高精度な周波数伝送や高速光データ伝送、光電融合、光コンピューティングが今後の電波天文学を支えると述べた。
閉会挨拶では、法政大学理事副学長・教授の松尾由賀利氏が、光の研究はそれ自体を深く掘り下げる「縦糸」であると同時に、AI、エネルギー、医療、宇宙をつなぐ「横糸」でもあると総括した。今回のシンポジウムは、光科学技術が社会基盤の広範な領域に浸透し、学術と産業を結ぶ原動力となっていることを示す機会となった。
※フルバージョンは月刊オプトロニクス2026年8月号でご覧いただけます



