パナ,ペロブスカイト太陽電池を塗布で製作

パナソニックは,ガラスを基板とする軽量化技術や,インクジェットを用いた大面積塗布法を開発し,これらの技術を用いて作製したペロブスカイト太陽電池モジュール(開口面積802cm2:縦30cm×横30cm×厚さ2mm)で世界最高のエネルギー変換効率16.09%を達成した(ニュースリリース)。

ペロブスカイト太陽電池は構造上,発電層を含む厚みが結晶シリコン太陽電池の1/100程度と非常に薄いため,結晶シリコン太陽電池より軽量化できる。これにより,ネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)への普及につながる建物壁面への設置や透明電極を用いて窓への適用など,多様な設置形態が可能になる。

さらに,太陽電池モジュールの基板へ直接,層材料を塗布することができるため,従来の作製技術に比べて,より安価に形成できることから,次世代太陽電池として注目されている。一方,小面積セルのエネルギー変換効率は25.2%と結晶シリコンに匹敵する高効率が達成されているものの,従来技術では大面積を均一に製膜することが困難であったため,変換効率が大きく低下する傾向があった。

同社は今回,大面積に精細で均一な層材料の塗布が可能なインクジェット法に着目し,ガラス基板上へのペロブスカイト膜を含む各層塗布への応用展開を図り,大面積モジュールでの高変換効率化を実現した。

具体的には,ペロブスカイト結晶を構成する原子団のうち,モジュール作製の加熱工程において熱安定性に課題のある(加熱により結晶から脱離することにより,結晶構造の一部が崩壊する)メチルアミンの一部を,分子あるいは原子が適度に大きく,加熱脱離抑制効果のあるホルムアミジニウム,セシウム,ルビジウムに置き換えすることで,結晶の安定化を図り,高変換効率化に寄与することを見出した。

また,インクジェット塗布法を用いた薄膜作製工程では,塗布パターンを自由に変更できる反面,材料をドット状に塗布・製膜後,塗布面内で均一に結晶化させる必要がある。それら要求用件を満たすため,塗布液濃度を一定範囲で調製した上,塗布工程における塗布量・速度を精密に制御することにより,大面積モジュールの高変換効率化を実現した。

これらの技術を各塗布プロセスで最適化することで,ペロブスカイト膜の結晶成長促進,モジュール面内膜厚と結晶膜質均質化の向上に成功した。その結果,30cm角サイズで変換効率16.09%を達成し,実用化に一歩近づいたとしている。

キーワード:

関連記事

  • タンデム型ペロブスカイト太陽電池の国内市場、累積導入量を12.5GWと予測

    矢野経済研究所は、タンデム型ペロブスカイト太陽電池(タンデム型PSC)の国内市場を調査し、参入企業の動向、将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。 2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画(経済産業省)…

    2026.05.08
  • 科学大など、発光する有機太陽電池を開発、発電ディスプレイ実現へ

    東京科学大学、北海道大学、大阪大学などの研究チームは、発光機能と発電機能を併せ持つ有機太陽電池を開発した(ニュースリリース)。 太陽電池と有機ELはともにダイオード素子であるが、1つの素子内で発電と発光を高効率で両立する…

    2026.04.28
  • 九州大、職場行動を長期記録できる名札を開発 室内光と動きで充電不要

    九州大学の研究グループは、特性の異なる2種類の太陽電池と、動きを電気に変える素子を組み合わせた装置を設計・開発した(ニュースリリース)。 ウェアラブル端末は、健康管理や行動分析など幅広い分野で活用されている。しかし、多く…

    2026.03.13
  • 千葉大など、営農型太陽光発電でも収量低下しにくい品種を確認

    千葉大学、千葉エコ・エネルギー、帯広畜産大学は、農地の上で発電を行なう営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)が、水稲と大豆、サツマイモの生産に与える影響を調査したところ、パネルの下での収量は作物の種類・品種・遮光率によ…

    2026.02.16
  • スタンレー電気など、ライフスタイルのトレンド見本市で次世代ライティングを発信

    スタンレー電気はF-WAVE、ナベル、オカムラ、杉原商店と出展協力し、フランスのパリ・ノール・ヴィルパント国際展示場で2026年1月15日から19日まで開催される、ライフスタイルの最新トレンドを発信する見本市「メゾン・エ…

    2026.01.13

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア