千葉大学、千葉エコ・エネルギー、帯広畜産大学は、農地の上で発電を行なう営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)が、水稲と大豆、サツマイモの生産に与える影響を調査したところ、パネルの下での収量は作物の種類・品種・遮光率によって大きく変動する(5~40%低下)こと、パネル下でも収量が低下しにくい品種があることがわかった(ニュースリリース)。

農業と再生可能エネルギーの生産はどちらも広い土地を必要とするため、土地利用を巡る軋轢が生じている。そこで注目されているのが、農地の上に太陽光パネルを設置して発電し、その下で農業を行なう営農型太陽光発電。
土地利用効率が高く、農家の収益向上につながるとして近年アメリカやヨーロッパなどで注目されている。農林水産省によると、2022年度までに日本で累計約5,351件の営農型太陽光設備の農地の一時転用許可が出ており、設備の下部農地面積は約1,209haに達している。
これは農地の有効活用と再エネ導入の広がりを示している。しかし、広く展開する上で課題となるのは「どの作物・どの品種を、どのように栽培すれば、パネルの下でも収量が維持できるのか」という点。特に、日本の農地の大部分を占めるコメ・ダイズ・イモ類などを対象にした研究は少なく、また作物の種類や品種、栽培方法による違いを比較する研究はなかった。
そこで研究グループは、千葉県の複数の農業法人の協力のもと、2024年に水稲(もち米)や大豆、サツマイモを対象に太陽光パネル下とパネル外での生育の違いを調べ、気象データも測定した。さらに、2023年と2024年に有機栽培サツマイモを対象に、品種、除草のタイミング、有機肥料の有無を変えて調査を行なった。
調査の結果、作物によって収量の減少の程度が異なることが分かった。水稲では、太陽光パネルが面積の27%を覆う水田で収量が5%の減少にとどまった。パネルの下の水稲の生育を詳しく調べると、一株当たりの穂の数は減るものの、意外にも生育後期に形成される一穂あたりの籾の数と玄米の重量は増えていた。
このことは、生育後期の夏の環境が水稲にとって良かったことを示唆している。実際にパネル下の気象データを分析すると、日中の最高水温は平均でおよそ2℃下がっていた。これは、2024年の猛暑の悪影響が、パネルが日傘となることで緩和された可能性がある。
大豆の収量は、パネルが33%を覆う畑で31%減少した。サツマイモの収量はパネルが31%を覆う畑で 40%減少し、パネルが 49%を覆う畑ではさらに大きく減少した。しかし、調査した農地は地域平均より生育が良好だったため、3割程度の遮光では農地転用許可の地域の平均的な収量と比較しておおむね2割減収しないという要件を満たしていた。

パネルが約40%を覆う畑で栽培した有機栽培のサツマイモでは、遮光の影響は品種によって異なることが分かった。例えば、安納いもは大きく減収した一方、あまはづきはパネルの下でも収量を維持できた。
このことは、適切な品種を選べば発電と食料生産を高いレベルで両立可能であることを示唆している。一方、除草のタイミング、有機肥料の有無は、パネル下のサツマイモ収量に影響しなかった。
研究グループは、今回の研究は、営農型太陽光発電が食料生産と再生可能エネルギーを両立する有効な手段になりうるとしている。



