富士通,ネットワークの通信データを欠損なく収集・蓄積

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が管理法人を務める内閣府事業において,富士通は,仮想ネットワークから従来技術の約7倍となる10Gb/sの速さで通信データを欠損なく収集する技術を世界で初めて開発した(ニュースリリース)。

多くの企業の情報システムにおいて,従来の物理ネットワークに加え,仮想ネットワークの導入が進んでいるが,従来の技術では,仮想ネットワークから通信データを収集する際に,通信速度が数Gb/sを超える場合や,大容量の通信データを複数箇所から汎用PCサーバーなどに収集して蓄積する場合に,データの一部が欠損してしまい,通信データの正確な解析を行なうことが困難だった。

今回,富士通は,通信データの高速収集技術と,収集した通信データを格納先へ高速転送する技術によって,仮想ネットワークの通信データを従来技術の約7倍となる10Gb/sの速さで欠損なく収集する技術を世界で初めて開発した。さらに,仮想・物理ネットワーク双方から収集した通信データを,データの種類に応じて格納先を振り分けることで汎用PCサーバーへの負荷を低減し,合計100Gb/sで通信データをリアルタイムに蓄積する技術も開発した。

データを欠損なく高速収集する技術は,仮想ネットワークの複数箇所から通信データの高速な収集を可能にする高速収集技術と,大量の通信データによって発生する輻輳を回避しながら通信データを転送する高速転送技術を組み合わせることにより,実現した。これにより,従来技術と比べて約7倍となる10Gb/sで仮想ネットワークの通信データを欠損なく複数箇所から収集し,仮想ネットワーク内を正確かつリアルタイムに監視することが可能になる。

また,従来の通信データ蓄積技術では,収集した通信データを格納先の汎用PCサーバーへ無作為に蓄積するため,格納先に通信データの蓄積処理が集中し,処理性能を超過してしまうことによって通信データの一部に欠損が発生するほか,必要なデータの取り出しにも時間を要していた。

開発した技術では,通信データの特性に応じてデータの格納先の振り分けを行なうとともに,格納先を示すデータ検索管理情報を付与する。これにより,通信データの蓄積処理が集中するのを避けることができ,汎用PCサーバー上でもデータのスムーズな格納や取り出しを実現し,100Gb/sの通信データを欠損なくリアルタイムに汎用PCサーバーへ蓄積でき,仮想・物理ネットワークが混在する組織内部のネットワークを正確かつ俯瞰的に監視することが可能になる。

富士通は,今回開発した技術を,複数システムの仮想化統合を実現するネットワークサーバ「FUJITSU Network IPCOM VX2」,および通信データをまとめて蓄積できるソフトウェア「FUJITSU Network Virtuora TC」に実装し,2018年度上期に提供することを目指す。

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