NEC,量子ドットを用いた赤外線センサーを開発

開発した量子ドットセンサー

NECは,高感度で波長分解能に優れた,量子ドットを用いた赤外線センサーを開発している。

このセンサーは赤外線の持つエネルギーによって,量子ドットの電子が異なる準位に遷移することを利用する。センサーは直径数十nmのインジウムヒ素の量子ドットをガリウムヒ素の基板上にエピキキャシタル成長させたもので,粒径を変えるなどすることで6~10μmのうち,特定の波長に感度を持たせることができる。

従来のボロメータのような赤外線センサーと比べて感度が高く,液体窒素による冷却を考慮しても小型軽量なデバイスが実現可能なため,フィールドワークにも適した装置が実現できるという。同社では,鉱物が種類により赤外光に放出しない波長があることを利用し,このセンサーを航空機や人工衛星に搭載して,上空からの鉱物資源の探索などに利用したいとしている。

半田ごての先端を撮影

同社は256×320画素(30μmピッチ)のセンサーを試作し,実際に鉱物探査に使用できるだけの感度と分解能を確認した。現在のところNETD(温度分解能)は数百mmKとなっているが,今後は米軍などが用いる高感度の水銀カドミウムテル(MCT)センサーと同等の性能を目指し,もう1桁感度を上げていきたいとしている。

課題としては,エピキシタル成長のパラメータと量子ドットの成長との因果関係がすべて解明されておらず,より効率的な条件出しが求められていると共に,ガリウムヒ素基板と信号読み出し用のシリコン基板をバンプを介して張り合わせているため,熱膨張係数の違いにより破損の可能性があること,さらにS/N比を上げることができる周辺構造の開発などがあるという。

キーワード:

関連記事

  • 茨城大、低価格なマグネシウムシリサイドで赤外センサーを開発

    茨城大学の研究グループは、資源が豊富な元素からなるマグネシウムシリサイド(Mg2Si)を用いて、波長2.1µmまでの近赤外領域に感度をもつ赤外イメージセンサーの開発に成功した(ニュースリリース)。 波長0.9~2.5 µ…

    2026.04.07
  • 富士通、防衛・防災向け高感度・高精細な2波長赤外線センサーを開発

    富士通は、防衛や防災分野で監視能力を拡張するため、世界トップレベルの高感度かつ高精細な赤外線センサーを開発した(ニュースリリース)。 安心・安全な社会を支える安全保障分野では、様々な脅威を早期に検知し、その予兆を正確に捉…

    2026.03.31
  • 中央大など、半導体カーボンナノチューブで冷却不要の高感度赤外線センサを開発

    中央大学と京都工芸繊維大学は、電気の性質が異なるp型およびn型に制御した半導体カーボンナノチューブ(CNT)を用いた高感度赤外線センサを開発した(ニュースリリース)。 赤外線は、衣服やプラスチックなど多くの有機材料を透過…

    2026.02.18
  • 東北大など、量子ドット1個で室温単一電子トランジスタを実現

    2年前に半導体コロイド量子ドット1個を用いた単一電子トランジスタ(SET)を作製した東北大学と東北工業大学は、従来困難だった単一量子ドットの電気伝導の詳細な評価に成功するとともに、室温でのSET動作を初めて実現した(ニュ…

    2026.01.08
  • 名大ら,生体内で強く発光する低毒性量子ドット開発

    名古屋大学と量子科学技術研究開発機構(QST)は,近赤外光波長領域で強く発光する新規な多元素量子ドットの開発に世界で初めて成功し,生体深部イメージング用発光プローブとして利用できることを実証した(ニュースリリース)。 量…

    2025.07.07

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア