イメージセンサとパワー半導体で変換点の日本市場に挑む

─日本における戦略はどうでしょうか

日本での成功に向けてどんなことに取り組んでいくかというと,繰り返しになりますがインテリジェントパワーとセンシングでは,今後オートモーティブとインダストリアルが大きく伸びていくと考えています。自動車であればADASや電動化といったところに注力していきます。市場の成長速度の2倍のペースで我々も成長していくことを目標にしています。

日本における売上の割合を見ますと,日本はオートモーティブとインダストリアルが非常に大きいのが特徴です。ワールドワイドの売上であるオートモーティブ37%,インダストリアル28%に比べると,日本はオートモーティブがさらに大きな割合を占めています。特にイメージセンサはトップシェアということもあり,日本でも多くのお客様に採用していただいています。こうして,我々が差別化できるテクノロジーで,お客様が抱えている課題を解決するとともに,技術をさらに成長させるため社内キャパシティへの投資を行ないます。

また,我々は2040年にカーボンニュートラルの達成を目標にしていますが,その延長として日本政府が目標とする2050年のカーボンニュートラル達成も支援していきます。さらにこれも先ほどお話しましたが,DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン),多様性という部分にも大きく力を入れていきたいと考えています。

─パワー半導体とセンサーの両方を持つことによる強みはなんですか?

自動車の電動化に対するパワー半導体の大きなチャレンジとして,航続距離や給電のスピードが求められてきますので,そういったところで我々はお客様の課題を克服できる答えを持っているのと同時に,イメージセンサも持 っている,ということです。もちろんイメージセンサはEVにだけ使われるものではありませんが,例えばイメージセンサにパワーを供給して,クルーズコントロールなどに適用されるASIL-Cを担保することができる,といったことを半導体ソリューションとして提案できます。そういった意味で我々が貢献できる分野は多いと思います。

─自社のイメージセンサの強みをどうとらえていますか?

我々のイメージセンサは暗いところでも使えるという強みがありますが,今までは車外にカメラを付けて,フロントに2個,サラウンドに4個という具合にどんどん増えてきていました。最近では同じように車内にもドライバーモニターや,搭乗者のモニタリングシステムといった新しい用途が増えており,新しい用途にいち早く対応した我々の製品をお使いいただいています。

ご採用いただいた次のステップとしては,ドライバーモニタシステムと搭乗者のモニタリングシステムを一緒にしたような,1つのカメラで2つの役割ができるようなシステムをご提案しています。カメラの数を少なくできればコストを減らせるだけでなく,車内の設計の自由度も上がります。新しいテクノロジーを利用し,高精細化や小型化によってコストエフェクティブなソリューションというものを考えていきます。

つまりイメージセンサ単体だけではなく,トータルのソリューションとして完成されたものを提供することで設計を簡素化したり,開発期間を短くしたりできる,こうした様々なシステムレベルで製品をご提供させていただくことができます。テクノロジーについては各社考え方があると思いますが,我々は高精細化についてはさらに追い求めていきます。高精細化が進んでいくと熱など様々な問題が出てきますが,そういった部分を我々がクリア化して差別化するようにしていきたいと考えています。

─インダストリアルはどのように注力していますか?

インダストリアル部門ではマシンビジョンに力を入れています。ファクトリーオートメーションがどんどん加速していく中で,マシンビジョンは人の眼の代わりに様々な状況を認識してくれます。特にコロナで人がいない,ラインが動かないというリスクが顕在化してきたことは,自動化に向けた非常に大事な転換点だと考えています。

ビジネスとしては既にご予算をいただいているほか,追加のプロジェクトなど,日本だけでもたくさんお話をいただいています。FAの装置メーカー,またはそうしたお客さんに装置を提供しているモジュールメーカー,こうした皆様と仕事をさせていただくことによって,日本国内にも多くの実績があります。我々は今後ビジネスとしてはもちろん,様々な点から業界に貢献できると思っています。

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