近赤外光硬化性樹脂を用いた自己形成光導波路によるシリコンフォトニクス自動接続

4. マルチコアファイバへの応用展開

4コアMCFを用いた自己形成光導波路コアの作製と,4コアMCF間の自己形成光導波路接続を行った。それぞれの実験系を図5(a)図5(b)に示す。使用した4コアMCFのコア配置は,正方形の各頂点となるように4コアが配置されている。コア間ピッチは50 μmで,波長1550 nmにおけるモードフィールド径は7.4〜8.5 μmである。

4コアMCFを用いた自己形成光導波路コア作製の実験系では,波長1550 nmのSMF出力近赤外レーザーを,分岐比が均等な1×4分岐ファイバスプリッターとMCFファンイン/ファンアウト(Fi/Fo:Fan-in/Fan-out)デバイスを用いて,4コアMCFの各コアにカップリングした。4コアMCFの出射端側を近赤外自己形成光導波路材料内に挿入し,近赤外レーザーを照射して,4コアそれぞれから一括で自己形成光導波路コアの作製を行った。図5(c)に顕微鏡画像を示す。

4コアMCF間接続の実験系では,図5(a)と同様の構成で4コアMCFを対向して配置した。光源には2台の波長1310 nmレーザーを用いた。2台の波長1310 nmレーザーから同時に光を照射することで4コアMCF間の自己形成光導波路接続を行った。4コアMCF間接続の顕微鏡画像を図5(d)に示す。4コアMCFの向かい合ったコア同士が,自己形成光導波路コアによって接続されているのが確認された。自己形成光導波路コアにより接続した後の各チャネルの挿入損失を,波長1550 nmレーザーを用いて測定した。MCFを突き合わせ接続したときの各チャネルの挿入損失は平均0.8 dBで,挿入損失の最大値と最小値の差は0.4 dBであった。一方,自己形成光導波路接続後の各チャネルの挿入損失は平均0.2 dBであり,挿入損失の最大値と最小値の差は0.1 dBであった。自己形成光導波路接続により,低損失接続を実現し,各チャネル間の損失のばらつきを低減することに成功した。

5. まとめ

本稿では,波長1070〜1550 nmの光源で感光可能な一光子重合開始システムと,光通信波長帯用デバイスに向けた近赤外自己形成光導波路について述べた。近赤外自己形成光導波路を,シリコンフォトニクスデバイス間の簡易接続や,複数チャネルをもつ光部品間の一括自動接続へ適用することで,損失低減,実装精度緩和,タクトタイム削減の達成が期待される。本研究成果が,光デバイス分野のみならず,フォトポリマー分野の発展にも大きく貢献するものと期待している。

謝辞

本研究成果は,JST戦略的イノベーション創出推進プログラム(JPMJSV0917),JST A-STEP(JPMJTR20RK),NICT Beyond 5G研究開発促進事業委託研究(JPJ012368C03301),Orbray㈱との共同研究により得られた成果である。本研究を遂行するにあたり,日本カーリット㈱から近赤外吸収色素を提供していただいた。本研究の遂行には,杉原興浩教授,近藤圭祐助教をはじめ,多くの方々のご協力をいただいた。関係各位に感謝する。

参考文献
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■Silicon photonics self-coupling by light-induced self-written optical waveguide using near-infrared photopolymerizing resin
■Hidetaka Terasawa
■Project Researcher, School of Engineering, Utsunomiya University

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