レーザー加工技術の付加価値向上へ

レーザックスはレーザージョブショップの老舗として,その確かな加工技術によって業界での確固たる地位を築き上げてきた。代々受け継がれる技術力とノウハウは時代の変化とともに磨き上げられている。今回同社代表取締役社長の近藤大祐氏に事業の強みや経営ビジョンなどについて話を聞いた。

レーザージョブショップとして発展

御社の歩みについてお聞かせください

1941年に私の祖父,近藤栄二が戦闘機(ゼロ戦)のエンジンなどを製造するメーカーで知られる中島飛行機半田工場の協力会社として,近藤航空機製作所を創業したのが始まりです。1946年には鋳物を手掛ける丸眞製作所が設立され,1965年に精密機械の設計・製作メーカーとして丸眞精機が設立されました。

後に丸眞製作所は丸眞重工へと社名が変わりますが,ここにレーザカッティングセンターを設置したのが1984年です。当時導入したのは炭酸ガスレーザー加工機です。ここから本格的にレーザー加工事業がスタートしました。1988年にレーザカッティングセンターが独立して設立されたのが,レーザックスです。

拠点はここ本社工場と横浜のレーザテクニカルセンターがあります。自動車産業が集積しているエリアでもあるので,レーザー発振器メーカーさんもラボやサービス拠点を置かれていて連携したりしています。会社としては創業から今年で84 年目,レーザー加工事業を開始してからは41 年目を迎えました。

御社の事業の強みは?

弊社の事業の柱は3 つあります。レーザー受託加工事業,レーザー加工周辺機器の設計製造販売事業,工作機械向鋳物部品材料の調達販売事業です。レーザー受託加工事業は先ほども紹介いたしましたが,1984年に日本国内でいち早くレーザー加工機を導入してレーザー加工分野に参入しました。以来40 年間,多様なレーザー加工設備を保有し,さらに長年蓄積・継承してきた技術力とノウハウで,半導体,自動車,医療,航空宇宙など様々な分野のニーズに対応しています。

現在,特化しているのは溶接技術ですが,航空・宇宙分野に関しては,航空宇宙業界の国際認証Nadcapを取得しているのも強みでして,これを活かした穴あけなどの加工にも力を入れています。また,受託加工では中量産のものづくりに加え,試作加工やレーザー加工試験に強みを持っており,お客様のものづくりに深く寄り添い,製品作りにより高い付加価値を与え,お客様の要求仕様を確実に満たすことを目指しています。

レーザー周辺機器事業は,レーザー受託加工事業で多くのお客様とともに無数のレーザー加工を行なってきた,その豊富な経験とノウハウをベースに,お客様の用途に適したレーザー加工装置の提案を進め,最適な機器の設計製造や機器の選定をすることで,お客様がレーザー加工できる生産設備の導入支援をしています。

具体的にはレーザー光を照射するレーザー加工ヘッドを主力商品とし,レーザー光を制御するコントローラーや溶接機を販売しています。繰り返しになりますが,私たちの強みは,加工ノウハウをベースにした,カスタマイズ設計で,お客様のニーズをくみ取り,ノウハウをベースとして提案を行なうことで,お客様にとって最適な機器を設計・製作できることです。これらの事業を上手く回しているのが,我々のビジネスモデルとなっています。

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