NHK技研公開でみた、放送を支える光の新たな一歩 

凹面湾曲イメージセンサー

イメージセンサーとは、カメラに搭載されている部品で、レンズから入ってきた光を映像に変換する役割を持つ。一般的なイメージセンサーは平面状になっている。そのため、画像の中心部ではピントが合いやすい一方で、視野が広がるとセンサーの端のほうではピントがずれ、周辺部がぼやけてしまうという課題がある。従来のカメラでは、この周辺部のぼやけを補正するために複数のレンズを組み合わせていた。しかし、レンズ枚数が増えるとカメラ全体が大型化してしまう。

そこで研究チームは、レンズを増やすのではなく、イメージセンサーそのものをピント面に合わせて湾曲させる方法を開発している。センサーを曲げることで、少ないレンズ枚数でも画像の周辺部までピントが合いやすくなり、小型で高画質なカメラの実現につながる。

展示では、平面センサーで撮影した画像と、開発した湾曲センサーで撮影した画像の比較が示されていた。平面センサーでは周辺部にぼやけが見られるのに対し、湾曲センサーでは周辺部のぼやけが抑えられていることが確認できる。また、リアルタイム撮影のデモでは、シンプルなレンズ構成のまま視野角90度まで広げた映像を撮影しており、周辺部のぼやけをさらに抑えることが可能となった。

今回使用された湾曲センサー(写真左)と、ぼやけの改善画像(右)。曲率半径15ミリにすることで、よりくっきりとした画像になっていることが分かる。

■光で軟らかさが変わる触感提示材料

光によって軟らかさが変化する触感提示材料の展示では、実際に開発中の材料を間近で見ることができた。材料は最初、ゼリーのような状態だが、光を当てると軟らかくなり、流れるような状態に変化する。その後、しばらく置いておくと再びゼリー状に戻る。つまり、光の照射によって「硬い」「軟らかい」を切り替えられる材料である。

この材料をイマーシブメディアで利用することで、映像を見ながら実際に材料に触れているような感覚を味わうことができる。ものの温度感や質感、手触りをリアルに体験できるようになるという。将来的には、パッド型デバイスやグローブ型装置に組み込み、映像と触覚を組み合わせた体験の実現を目指している。

写真左のゼリー状の材料が、ライトを当てることで、写真右の液体状に変化する。

■フルカラー透明ホログラム

従来から研究が進められてきたホログラフィー技術では、基板の表面にホログラムのデータを直接書き込むことで、光を当てたときに立体的な映像が浮かび上がる。今回の展示では、1枚のホログラムによるフルカラー化技術が紹介された。

一般的にカラー化するには、カラーフィルターを使ったり、複数枚の基板を重ねたりする方法が考えられるが、それでは透過率が下がってしまう。そこで研究チームは、1枚の透明なホログラムに赤、緑、青の光の情報を記録し、後ろからそれぞれの光を当てることで、正面から見たときにカラーの三次元像として見えるようにした。

また、ホログラムの透明度の高さも注目すべき点だ。通常、微細な構造を基板に刻むと表面で光が散乱し、曇りガラスのように白く濁ってしまう。そこで研究チームは、表面の散乱を抑える構造を工夫し、一見すると透明なガラスのように見えるホログラムを実現した。光を当てていない状態では透明に見え、光を当てると三次元映像が現れる点が特長となっている。

実物体と三次元映像を同時に観察できる(左)。また、実際の3Dモデルから作成したホログラムも紹介されていた(右)

【取材・写真】望月あゆ子

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