理化学研究所(理研)、島津製作所、国際度量衡局(BIPM)は、光周波数標準(OFS:Optical Frequency Standards)に関する調査・検討に向けた協力を開始するための覚書を締結したと発表した(ニュースリリース)。

左から、理化学研究所理事長・五神真 氏、光量子工学研究センターセンター長・田中耕一郎 氏、
同センターチームディレクター・香取秀俊氏、
産業技術総合研究所 上席執行役員/計量標準総合センター 総合センター長・臼田孝氏、
島津製作所 常務執行役員CTO・西本尚弘 氏、国際度量衡局局長・Dr. Annette Koo 氏、
島津製作所代表取締役社長・山本靖則 氏
光周波数標準は、光格子時計や単一イオン光時計に代表される次世代の周波数標準で、原子やイオンの光遷移を基準とする。現在の「秒」はセシウム原子時計に基づくマイクロ波基準によって定義されているが、光周波数標準はこれを上回る安定性と精度を実現することが期待されている。
将来の国際単位系(SI)における「秒」の再定義を検討するうえでは、各国の計量研究機関が開発する光周波数標準同士を、高い信頼性で比較できる体制の構築が不可欠となる。
時刻・周波数に関する諮問委員会(CCTF)は、「秒」の再定義に向けた重要な要件の一つとして、各国の計量研究所が開発中の周波数標準を相対誤差10-18レベルで比較できること、また光周波数標準が協定世界時(UTC)に一貫して寄与できることを示している。
今回の協力では、こうした国際的な比較を支援する手段の一つとして、可搬型光周波数標準の実用性や運用上の課題、環境条件に関する技術的検討を進める。可搬型装置を用いることで、異なる研究機関間での光周波数標準の比較や評価を柔軟に行える可能性があり、「秒」の再定義に向けたロードマップ上でも重要な取り組みとなる。
この検討には、BIPM、理研、島津製作所に加え、産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJ)も関与する予定。さらに、他国の計量研究所や関連機関も平等な条件で参加できる、オープンな枠組みとすることが見込まれている。
各機関は今後、光周波数標準の国際比較に必要な技術的要件や、可搬型システムの実装可能性、運用方法などについて調査・検討を進める。これにより、将来の「秒」の再定義に向けた国際的な基盤整備への貢献が期待されている。



