千葉大など、CO₂光燃料化活性の作用機構を解明

千葉大学と中国成都バイオガス科学研究所の研究グループは、二酸化炭素をメタンなどの燃料に変換する光触媒反応において、「光で生じた電子による反応」と「ホットスポットにおける反応」の役割を明確に識別・特定することに成功した。さらに、Ni–Ru–ZrO2触媒を開発し、CO2から世界最高の毎時触媒1gあたり10ミリモル水準でのメタンへの転換速度を達成したと発表した(ニュースリリース)。

太陽光エネルギーを利用して二酸化炭素(CO2)を再生可能な方法で燃料や化学物質に変換できれば、新たなカーボンニュートラルサイクルをつくることができる。従来の光触媒技術は、エネルギー変換効率の低さが大きな課題となっていた。また、光照射下での反応において光触媒に吸収された光が、電荷分離および熱(ホットスポット)へと変換され、照射する紫外可視光の強度や温度に複雑に依存するため、CO2還元の反応経路は不明となっていた。

還元反応経路を調べるため、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、酸化ジルコニウム(ZrO2)を複合し開発したNi‒Ru‒ZrO2触媒と従来のNi‒ZrO2触媒を比較。1cm2あたり光強度568mWの条件下で、反応器の水冷の有無でのCO2光還元反応試験を行なった。

(図)触媒を入れた反応器を水で冷しながらの、CO2光還元反応試験。

光強度654mW/cm2において、エチレングリコールによる冷却の有無の条件下でNi、Ru、Zr原子それぞれの温度を追跡。冷却条件下では光で生じた電子がCO2をCOHへ還元し、約126度のNi表面上で熱触媒反応と比較して1.7倍に加速され、メタン(CH4)まで還元される経路が確認された。

(図)Ni‒Ru‒ZrO2触媒によるCO2光還元作用の概念図。

冷却無しの条件では、Ni‒Ru‒ZrO2触媒は毎時触媒1gあたり7.9ミリモル以上の高速でメタンを生成し、Ruの添加により反応速度が2.7倍に加速。さらに密度汎関数理論(DFT)計算により、RuがCO2吸着を可能にして光エネルギー由来の加温のみでメタン化反応が進んだ。

この研究では光エネルギーを用いてCO2を燃料(メタン)に変える光触媒の改良を行ない、Ni‒Ru‒ZrO2触媒が世界最速水準でCO2光メタン化を進めること、金属ナノ粒子におけるホットスポットの触媒的役割を科学的に証明した。今後、C2、C3化合物やアルコール合成等、太陽光を用いた持続可能なCO2資源化技術のさらなる高効率化につなげていくとしている。

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