NTTとドコモ、5Gスライシングの通信品質を事前に推定する技術を世界初実証

著者: 編集部

NTTとNTTドコモ(ドコモ)は、5G SA(Stand Alone)の基幹技術である「ネットワークスライシング(スライシング)」において、用途の異なるスライスごとに通信要件の達成見通しを事前に推定する技術を世界で初めて確立し、商用網での実証に成功した(ニュースリリース)。この技術は、これまで困難とされてきた、設備リソースを共有する複数のスライス間での品質推定を可能にするもので、社会インフラや産業用途での安定運用に大きく寄与することが期待される。

5G SAにおけるスライシングは、単一のネットワークを仮想的に分割し、ドローン制御や遠隔監視といった多様なニーズに最適な通信品質を個別に提供する技術である。しかし、複数のスライスが同一の設備リソースを共有して動作するため、スライス間でのリソース競合が避けられず、特定のスライスにおける通信品質(スループットや遅延など)を事前に精度高く推定することは技術的に困難であった。

これまでの手法では、設備全体の実効速度に一定の係数を乗じるなどの簡易的な試算にとどまっており、スライスごとの通信特性や混雑状況を実態に即して反映できていなかった。

今回、両社が開発した技術の鍵は、機械学習による推定プロセスに「中間指標」の概念を取り入れた点にある。具体的には、基地局などの設備データから直接スループットを導き出すのではなく、まず電波品質指標や無線多重数、通信安定化リソースの利用量といった、通信特性に直接影響を与える中間的な指標を機械学習で推定する。そのうえで、各スライスに設定された個別の通信特性の方針(安定化の優先度など)に基づき、これらの中間指標を調整するステップを加えた。この調整後の中間指標と設備データを再度入力として最終的な適合性を判定することで、スライスごとの設定を反映した、より実態に即した推定が可能になった。

(図)中間指標の推定・調整によるスライス単位の品質推定のフロー

2025年12月に東京都内の商用設備を用いて行われた実証実験では、蓄積された基地局データをもとに端末スループットの推定が実施された。その結果、従来の手法と比較して、推定の誤差を示すRMSE(二乗平均平方根誤差)を51%低減することに成功した。さらに、この推定結果をヒートマップ形式で可視化することで、エリア内のどの地点が特定の通信要件を満たしやすいかを視覚的に把握できることも示された。

(図)エリア内の通信要件適合性を示すヒートマップ(スループット指標)

これにより、サービス提供者は、例えば災害対応時の臨時拠点設置やドローンの飛行経路策定において、通信が安定する場所をあらかじめ選定できるようになり、現場での手戻りやリスクの低減が可能となる。NTTとドコモは今後、この技術をさらに発展させ、スループットだけでなく遅延など複数の通信要件を組み合わせた適合性推定の実現を目指すとしている。光通信技術や5G/6Gインフラの進化に伴い、こうした高度な推定・可視化技術は、社会のデジタルトランスフォーメーションを支える重要な基盤技術となるだろう。

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