神戸大学の研究グループは、水溶液中で進行する「液相析出法(LPD法)」を用いて、金ナノ粒子(AuNP)を内包する酸化チタン(TiO2)薄膜光電極の開発に成功した(ニュースリリース)。
昨今のエネルギー問題の解決に向けて、無尽蔵なエネルギー源である太陽光のエネルギーを効果的に化学反応に利用することが求められている。半導体である酸化チタンは安定・安価で光エネルギー変換材料として広く用いられている。しかし酸化チタンのバンドギャップは約3.2eVと広いため、紫外域に応答波長が限定され、太陽光の多くを占める可視光を利用できないという課題がある。
これを補う方法として、貴金属ナノ粒子のLSPRを利用したプラズモニック電極が注目されているが、従来のプラズモニック電極の作製は高温・真空装置や微細加工といった手法に依存し、スケールや再現性に課題があった。今回の研究は、水溶液中で進行するLPD反応を活用し、可視光応答を示すAu‒酸化チタン光電極を簡便に作ることを目指した。
六フッ化チタン酸アンモニウムとホウ酸からなるLPD反応溶液にAuイオンを添加すると、酸化チタンの成長と同時にAu核が生成し、ポストアニールにより薄膜内部にAuNPが包み込まれるように内包されたような複合膜が合成される。電子顕微鏡やX線光電子分光測定といった測定から、AuNPの内包を確認した。

また形成した薄膜の吸収スペクトルを取得した結果、550nm付近にAuNPのLSPR由来の吸収帯が観測された。また光電気化学測定を中性溶液中で実施すると、可視光照射下で水の酸化反応が高効率に進行することを確認した。同時に、反応浴に入れるAuイオンの濃度を検討することで、可視光応答が最大化する合成条件も明らかにした。

さらにMott–Schottky解析から得たフラットバンド電位と、波長依存の光応答が吸収プロファイルを追随すること等の電気化学測定結果から、本系における光照射に伴うユニークな電荷移動過程の詳細を明らかにすることに成功した。
研究グループは、Au粒径・含有量の精密制御や共触媒併用、電極の大面積化を進め、太陽光により駆動する水分解セルや光電気化学デバイスへの展開を通じて、持続可能な社会の実現を目指していくとしている。



